1989 Fiscal Year Annual Research Report
慢性歯周炎型歯肉癌の発生に関する研究-歯肉ポケット上皮発癌との関連-
Project/Area Number |
01571100
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
大根 光朝 奥羽大学, 歯学部口腔外科第2講座, 教授 (00085870)
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Keywords | 慢性歯周炎型歯肉癌 / 歯肉ポケット上皮発癌 / 付着上皮発癌 / ラット歯肉癌 |
Research Abstract |
本年度は、4NQO飲料水投与法を用いて、ラット歯肉ポケット上皮発癌の可能性を検討した。 発生した歯肉癌はすべて扁平上皮癌で、その発生頻度は経時的増加を示し、投与開始後60-64週では80%に達した。歯肉癌の発生は、歯肉内縁部と歯肉外縁部に認めた。歯肉内縁部における癌の組織発生は付着上皮で、歯肉溝上皮にはほとんど認めなかった。すなわち、付着上皮における上皮性異形成とその高度化、上皮内癌の発生と歯根膜に沿った浸潤、そして歯槽骨への浸潤という発生過程を示した。この付着上皮における癌の組織発生は、付着上皮の物質浸透性、歯肉溝への4NQO水溶液の貯留などによると考えた。付着上皮の上皮性異形成の亢進、癌化および歯根膜に沿う下方増殖などによりもたらされた歯肉ポケットの形成と深化、さらに深化したポケット内への角化物の貯留などの状態は、慢性歯周炎型歯肉癌の特異な臨床症状を裏付ける組織所見であった。また歯肉ポケット内における歯肉癌の潜在状態は、慢性歯周炎型歯肉癌の臨床診断の困難性を示唆する所見であった。
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Research Products
(2 results)