1989 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺疾患における磁気共鳴映像法の画像診断学的価値の判定
Project/Area Number |
01571103
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
岡野 友宏 昭和大学, 歯学部, 教授 (20124688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野上 浩志 昭和大学, 歯学部, 講師 (20208309)
川田 雅章 昭和大学, 歯学部, 助手 (30177696)
熊倉 由樹子 昭和大学, 歯学部, 助手 (10178064)
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Keywords | 磁気共鳴映像法(MRI) / 唾液腺 / X線CT / 耳下腺 / 顎下腺 |
Research Abstract |
唾液腺を対象としたX線CTやMRIによる診断の主目的は腫瘍の質的・量的判定、顔面神経と腫瘍との関連を判定することにある。本研究の目的は磁気共鳴映像法(MRI)による唾液腺の描出を撮像条件の変動に伴なう信号強度の変化と共に把握すること、腺内腫瘍による信号強度の変化を把握し、更にX線CT像と対比することにより互いの相違点を把握すること、MR像の画像処理することにより観察のより容易な画像にすること等であった。対象は腫瘍の疑いでMRI(T1、T2強調、水素密度画像)及びX線CT(非造影、造影)の全てを施行しえたものとした。正常唾液腺のMR像における信号強度は筋に比較して耳下腺ではT1、T2強調像で共に高信号、顎下腺でもその傾向はあるものの耳下腺ほどの信号強度を示さなかった。脂肪に対しては共にT1、T2で低信号であったが、耳下腺ではその傾向が低く、T2では脂肪との判別の明瞭でないものがあった。腫瘍のMR像は多彩であった。一般にT1強調像では対側健常唾液腺に比して低信号で筋に近かった。内部は不均一な信号を示すものがあった。T2強調像では良性腫瘍は辺縁明瞭な高信号を示した。このうち一例は造影CTで内部不均一で悪性腫瘍を思わせた。悪性腫瘍のT2強調像は造影CTにおける不均一な濃染像とよく対応した。信号強度は周囲が高く内部で低いもの、信号強度の不均一なものがみられた。一般に腫瘍はT1強調で低信号、T2強調では高信号、時に低信号で悪性腫瘍ではT2で低信号のものがみられた。今後より多くの臨床例の積み重ねが必要といえた。CT像では歯科の金属修復物によるア-チファクトが診査を妨害することがあった。MRIでは強磁性体によるそれがみられたが、CTほどの障害とはならなかった。MRIの有利な点である。顔面神経はMRIのいくつかで確認しえたもののCTでは不可能であった。画像処理による画像改善は現在進行中であり、今後に期待すべきであった。
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