1989 Fiscal Year Annual Research Report
荷重負荷に対する頭蓋及び顔面由来の軟骨の応答性について
Project/Area Number |
01571118
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 博之 大阪大学, 歯学部, 助手 (90167271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 裕子 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員
中川 浩一 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員
大前 博昭 大阪大学, 歯学部, 助手 (80160620)
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Keywords | 機械的な力 / 軟骨細胞 / 遠心力 / 基質 / アルカリンフォスタ-ゼ |
Research Abstract |
矯正学的に興味ある頭蓋部由来の細胞に対する力の影響を検討するに先立ち、骨格成長に関与し内軟骨骨化を生じる成長板軟骨、および荷重を支持し、石灰化することのない関節軟骨から軟骨細胞を分離し、遠心管内で培養した。遠心管内培養法は、培養につれて細胞の増殖、細胞外基質生合成のみならず、成長板軟骨では石灰化が確認できる有効な実験系である。関節軟骨細胞では、遠心力の増加とともにDNA合成が促進し、27Gで対照の1.5倍に増加した。一方、成長板軟骨細胞に遠心力を24時間負荷しても、DNA合成は殆ど影響されなかった。この関節軟骨細胞に対して、3Gの遠心力を、負荷する時間を変化させた場合のDNA合成は、遠心負荷する時間とともに増加し、約22時間遠心することによって最大となった。次に、関節軟骨細胞に1.3ー27Gの遠心力を24時間負荷すると、PG合成は遠心力の大きさとともに促進し、12Gの遠心力で対照の1.5倍に増加した。また、成長板軟骨細胞でも、PG合成は遠心力の大きさとともに促進し、3Gー27Gの遠心力で対照の1.8倍に増加しました。PG合成は、遠心負荷する時間とともに増加し、この促進作用は、成長板軟骨細胞を用いた方が、関節軟骨細胞よりも大きいことが明らかとなった。さらに、10%血清存在下で、成長板軟骨細胞に3Gの遠心力を3日間負荷すると、ALPase活性は対照の約5倍程上昇した。しかし、3Gの遠心力を負荷しても、関節軟骨細胞のALPase活性は、殆ど影響されず低い値のままであった。このように、関節と成長板軟骨細胞とで遠心力に対する応答性が異なることは、本系での遠心負荷が、特異的な機構で各軟骨細胞の生物学的反応を誘導したことを示唆している。 さらに、関節軟骨と成長板で、運動あるいは荷重刺激が軟骨の増殖と基質合成の維持に関与していることが示唆された。現在、頭蓋部由来の細胞に対する力の影響を検討中である。
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[Publications] Hiraki,Y.,Inoue,H.,Asada,A.,Suzuki,F.: "Differential modulation of growth and phenotypic expression of chondrocytes in sparse and confluent cultures by growth factors in cartilage" J.Bone Min.Res.(1990)
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[Publications] Inoue,H.at al.: "Stimulations of proteoglycan and DNA syntheses in chondrocytes by centrifugation" J.Dent.Res.(1990)
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[Publications] 井上博之他: "ウサギ成長板および関節軟骨細胞の増殖と分化および石灰化に及ぼす機械的な力の影響" 日本骨代謝学会雑誌. 7. 114 (1989)
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[Publications] 井上博之他: "軟骨細胞に対する機械的な力の影響 Iウサギ肋軟骨成長板および膝関節軟骨細胞に対する影響" 日本矯正歯科学会雑誌. 48. 671 (1989)
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[Publications] Inoue,H.,Kato,J.,Sakuda,M.,Iwamoto,M.,Suzuki,F.,and Kato,Y.: "Fundamentals of Bone Growth," editors Dixon and Sarnat,The Telford press, submitted (1990)