1989 Fiscal Year Annual Research Report
脳機能-特に学習・記憶形成過程のオピオイドによる調節
Project/Area Number |
01571216
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
金戸 洋 長崎大学, 薬学部, 教授 (70039650)
|
Keywords | オピオイド / morphine / 学習・記憶 / 脳機能 / arginine vasopressin / 記憶の想起 |
Research Abstract |
本研究は、脳機能の調節因子としてのオピオイドの生理的役割解明を目的とするものである。 1.一試行性step-downおよびstep-through型回避学習行動の獲得を指標に、morphineが学習・記憶の形成過程を抑制するが、テスト試行前の投与によっては記憶の想起を促進することを、投与量、投与時間を変えて詳細に検討し、これを確認した。また、この効果がオピオイドμ受容体を介する作用であること、さらに、鎮痛効果に対して耐性となった動物でも同様に発現することから、鎮痛作用とは異なった機構を介するものであることを明らかにした。 2.テスト試行前のmorphineによる想起の促進効果についても、μ受容体antagonistのnaloxone、δ受容体agonistのDTLET、κ受容体agonistのU-69、593とantagonistのnorbinaltorphimineを用いて関与する受容体サブタイプを検討し、この効果もまた、オピオイドμ受容体を介することを確認した。 3.morphineの想起促進効果は、scopolamine、cycloheximideのほか電撃痙攣誘発健忘動物でもみられ、その作用が状態依存的(state dependent)ではなく、morphineの直接作用によることを証明した。 4.学習・記憶の過程を促進するarginine vasopressin(AVP)に対する抗血清の脳室内投与によって健忘が誘発されることを確認した。 以上、今年度の研究では、morphineがその投与の時期によって学習・記憶の過程に対して抑制的あるいは促進的に作用すること、一方、AVPに対する抗血清の投与が健忘を惹起することを確認したので、次年度では脳内AVPとオピオイドの関連から、オピオイドの脳機能調節における役割を明らかにする。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Mika Nishimura,Yasuyuki Shiigi and Hiroshi Kaneto: "State dependent and/or direct memory retrieval by morphine in mice." Psychopharmacology. 100. 27-30 (1990)
-
[Publications] Yasuyuki Shiigi and Hiroshi Kaneto: "Facilitation of memory retrieval by pre-test morphine." Psychopharmacology.