1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01580075
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
大鶴 勝 山口女子大学, 家政学部, 教授 (30110860)
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Keywords | 甲状腺 / 甲状腺腫 / カラシ油 / カイワレ大根 / キャベツ / 大根 / 十字花科野菜 |
Research Abstract |
十字花科野菜の甲状腺への影響および他の臓器への影響について調べた。その結果、カイワレ大根(250g)投与群で40日以降も体重増加が続き、また大根、キャベツ各500g投与群、カイワレ大根(250g)投与群において、甲状腺の妥縮、組織像からは濾胞腔の縮小、胞上皮細胞の肥厚がみられた。特にカイワレ投与群では、甲状腺での変化が大きく、血液検査からは、血中脂質の増加、肝臓の組織像からは脂肪変性がみられた。これらのことから、甲状腺への影響は、カイワレ、キャベツ、大根の順で大きいことがわかった。またそれぞれの投与量からも、カイワレは少量であっても強い作用があることがわかった。次に、甲状腺機能と代謝との関係から、カイワレ大根投与群において、体重の増加、血中脂質の増加などが見られた。また、大根、キャベツの500g投与群においても、カイワレほどではないが同様な変化が見られた。このことは、甲状腺機能の低下により、代謝機能が緩慢になった結果、血中脂質が上昇し、肝臓では、脂肪の合成が分解を上まわり、脂肪変性という形で観察されたものと考えられる。 人が一日に必要とするヨウ素は、体重1kg当り2μgとされている。例えば体重50kgの人は100μg、欧米では成人一日150〜200μgである。これに対し、日本人の一日当りの平均ヨ-ド摂取量は1〜4mgで少くとも100μgを下まわることはないといわれている。またSCN^-が甲状腺腫を起こすためには血中SCN^-が8〜10mg/dlという高濃度で長期間続く必要があることから、普通の食事から摂取する野菜量では影響はないと思われるが、偏食の強い人や、菜食主義といわれる人では注意する必要がある。
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