1989 Fiscal Year Annual Research Report
高磁場NMR法を用いた化学シフトイメ-ジングシステムによる筋疲労の研究
Project/Area Number |
01580125
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
山際 哲夫 京都教育大学, 教育学部, 助教授 (00174607)
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Keywords | NMR / MRS / 筋疲労 / 乳酸濃度 / エネルギ-代謝 |
Research Abstract |
本研究の目的は、筋の運動負荷による経時的な筋のエネルギ-代謝動態および筋内乳酸濃度より、筋疲労時の代謝状態を明らかにすることである。このため、まず一定の負荷を与えるための等張性運動負荷装置を作成した。今回使用したNMR装置は、明治鍼灸大学所有の磁場の強さ4.7Tesla、有効口径25.4cmの高磁場、大口径NMR装置(CSI2、GE社製)であり、まずNMR信号検出用のリンおよびプロトン用表面コイルを必要とするためこれを自作した。この装置を用いてヒトの腓膜筋の安静時を負荷時のエネルギ-代謝をリンNMRスペクトロスコピ-法を用いて無浸襲的に経時的に測定した。その結果は諸家の報告にあるように、負荷をかけるとクレアチンリン酸のピ-クは減少し、無機リンのピ-クの上昇が認められ、またpHの低下が認められた。負荷中止後は約10分程度で安静時のスペクトルに回復し、負荷量が増加するほどその回復には時間を要した。 また、プロトンのスペクトロスコピ-法を用いて水のプロトン信号を消失する方法を利用し、運動負荷時の筋内の乳酸に含まれるメチル基プロトンの測定を試みた。乳酸と脂肪のメチル基プロトンの分離に手間取り、今年度中に十分なデ-タ-を得ることができなかったが、それも可能となり今後デ-タ-蓄積し、筋内の乳酸濃度より無浸襲的に筋疲労時の代謝状態を明らかにしたい。今年度は結果を発表するまでに至らなかったが、今後この結果をNMR学会、体力医学会などで発表していきたい。
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