1990 Fiscal Year Annual Research Report
原子炉環境におけるクラッドの生成と変換および溶解の基礎過程に関する研究
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01580217
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大橋 弘士 北海道大学, 工学部, 教授 (20001315)
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Keywords | クラッド / 原子炉水化学 / メスバウァ分光 / ニッケルフェライト / コバルトフェライト / マグネタイト |
Research Abstract |
模擬クラッド物質の合成については,Ni(OH)_2あるいはCo(OH)_2に対するFe_3O_4,αーFeOOH、微粒子状αーFeOOH,γーFeOOHなどの反応性を調べた。X線回折では、マグネタイトとニッケルフェライトおよびコバルトフェライトの区別が不可能であることが判明したので、メスバウアスペクトルの磁気分裂の相違によって両者の区別を試みた。Fe_3O_4、αーFeOOH、γーFeOOHとNi(OH)_2から150〜300℃の範囲で水熱合成した結果は次の通りである。Fe_3O_4+Ni(OH)_2では250〜300℃でもNiFe_2O_4は生成せず、αーFeOOH+Ni(OH)_2では275℃においてNiFe_2O_4が生成したが、250℃では生成しなかった。また、微粒子状αーFeOOH+Ni(OH)_2またはγーFeOOH+Ni(OH)_2からは150〜250℃でNiFe_2O_4が生成した。αーFeOOH,γーFeOOH,Fe_3O_4とCo(OH)_2からのコバルトフェライトの合成実験の結果は次の通りである。αーFeOOH+Co(OH)_2からは150と180℃ではCoFe_2O_4は生成しなかったが、200℃では生成した。γーFeOOH+Co(OH)_2からは150〜250℃のいずれの温度においてもCoFe_2O_4が生成した。Fe_3O_4+Co(OH)_2では250〜300℃でもCoFe_2O_4は生成しなかった。 マグネタイトの溶解については,溶解速度におよぼすpH、ヒドラジン濃度、EDTA濃度および温度の影響を調べ,マグネタイトの溶解反応機構を明らかにした。マグネタイトの溶解は2段階に進行し、また、その速度は条件によって大幅に異なり、典型的な放物線則あるいは直線則に乗るものから、混合型およびそれらのいずれによっても整理できないものも認められた。 クラッドの生成と変換および溶解に関するデ-タベ-スの整備もすゝめている。あと少しで完了の見通しである。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 大橋 弘士,諸住 高,宮下 茂: "模擬クラッドの生成とキャラクタリゼ-ション" 材料と環境. 40. (1991)
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[Publications] 大橋 弘士,諸住 高,村 直美: "マグネタイトの溶解反応機構" 材料と環境. 40. (1991)