1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01580234
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
松本 繁樹 静岡大学, 教育学部, 教授 (90021881)
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Keywords | 焼畑 / 赤石山地 / 高位緩斜面 / 伊豆半島東海岸 / キヌサヤ蜿豆 / 火入れ |
Research Abstract |
「赤石山地およびその外延地域の焼畑」を研究課題としている研究代表者は、本年度、静岡市井川、北遠・水窪、伊豆東海岸などで現地調査を実施すると共に、歴史民俗学博物館、広島大学で資料の収集や情報の交換を行った。その結果、これまでに解明されたかないしはされつつある主な点は以下の通りである。 (1)赤石山地南半でのかつての焼畑と高位緩斜面との関係についての分析。赤石山地には、山頂・山腹に高位緩斜面の点在することがあるが、そのかなりのものは、かつては焼畑の適地として繰り返し利用されてきたのではないか、という仮説のもとに、両者の関係の分析を行った。まず2.5万分ノ1地形図からこの山地の高位緩斜面の分布図を作製して、そこには3つの密な集中分布地帯があるなど、その分布・配列には大きな特徴のあることを明らかにした。ついでこれら高位緩斜面と焼畑との関係について、現地で聞き取り調査や史資料の調査を行い、焼畑として利用されたものは、そのうち海抜1,500〜1,300m以下で、焼畑集落からほぼ数km以内に存在するものであることを明らかにした。このことから高位緩斜面の全てが焼畑の適地として利用されたわけではなく、その利用には垂直的にも水平的にも限界のあったことが知られえた。なおこういった高位緩斜面が近くに存在しない集落では、必然的に本格的な出作り小屋を伴う広範な出作り耕作を行わざるをえなかった。なお以上に関しては、「赤石山地南部におけるかつての焼畑と高位緩斜面」と題して、『社会科地域学習の方法』(明治図書、1990年3月刊行予定)に投稿中である。 (2)伊豆半島の東海岸に現存するキヌサヤ蜿豆の焼畑栽培についての調査。現在では極めて珍しいこの地の焼畑について、3回にわたって調査を実施した結果、そこでは火入れ方法に変化が生じつつあることなど、新たな多くの知見をえた。それについては本年度学会発表の予定。
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Research Products
(1 results)