1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01580234
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
松本 繁樹 静岡大学, 教育学部, 教授 (90021881)
|
Keywords | 焼畑 / 竜爪山 / 秣場 / 秣場争論 / 入郷の村 / 馬札・歩札 / 毒荏桐 / 三椏 |
Research Abstract |
赤石山地およびその外延地域一帯は、かつてはわが国有数の焼畑地帯であったが、そこでの焼畑はほぼ昭和30年代までに衰滅し、当時の大規模な焼畑の実体やその文化はすでに現地ですらも十分には分らなくなっている。そこでこれらの地域での焼畑やそれに関連する問題について、究明を試みんとするので本研究の主目的である。 (1)静岡市北部の竜爪山の焼畑についての調査とその成果の発表ー江戸時代、この地では竜爪山中の山元の村村とその前面の平野に連なる入郷の村村との間で、御林(古林)と秣場、焼畑地をめぐって激しい争論が繰り返されてきた。研究者(筆者)は、この地に残されている幕府評定所の裁許条や済み口証文、絵図などの史料の分析と現地調査から、ここでの元禄年間から明治期にいたる間の秣場争論の推移と、この間の秣場・焼畑地の分布およびその変化、さらにはこの地への毒荏桐・三椏などの近世的な商品作物の導入から、茶・みかんなどの近代的な商品作物への切り替えなどの問題について究明を試みた。その成果は1991年5月の地理科学学会で発表し、『静岡大学教育学部研究報告』にも投稿した。 (2)天竜川流域の静岡県・水窪町、佐久間町・春野町での調査ーここでは赤石山地内の急斜面に点在する高位集落をとりあげ、これら高位集落と地形(崩災地形、緩斜面地形」との関係、およびそれらとかつての焼畑との関係、また生業複合の変化の問題などについて調査し、それらと長野県・大鹿村での調査結果とを比較を試みたが、これについては問題が複雑に絡み合っているため、なお十分な結論を得るまでにはいたらなかった。 (3)当年予定していた四国・祖母地方ないしは九州・五家庄地方との比較研究については、台風の襲来ほかの事情で実現させえなかったが、これについては上記(2)の問題と共に、引き続き研究を行っていく予定である。
|
Research Products
(2 results)