1989 Fiscal Year Annual Research Report
積雪期の山地斜面における温度環境の解析に関する研究
Project/Area Number |
01580243
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山下 孔二 筑波大学, 地球科学系, 助手 (10200677)
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Keywords | 山地斜面 / 地温 / 地中熱フラックス / 積雪の深さ / 融雪 / 温度逓減率 |
Research Abstract |
冬季積雪のある山岳地域での温度等の連続的測定は、その必要性にもかかわらず様々な理由で困難であった。このためこれらの温度環境の解析は、比較的観測の容易な夏季や冬季短期間調査からの推定によって行われていた。そこで、本研究は資料のほとんど無い積雪期の山岳斜面地表付近の温度環境を、実測値に基づいて解析することを目的に立案された。 本年度は3年継続研究の初年度に当り、研究計画に基づいて以下のようなことを実施した。調査対象とした山地は長野県小県郡真田町菅平にある、標高2207mを山頂とする根子岳の南西向き斜面である。この斜面上の5地点(2204〜1327m)で3深度(5、10、30cm)の地温と地中熱フラックス(7cm深)を1時間間隔で連続測定するため、デ-タ記録装置をサ-ミスタおよび熱流板に接続して積雪期前に埋設した。これによって、地表付近の熱フラックスの方向とその大きさを解析する。また積雪の深さ測定用定点を斜面上に24ヵ所設定し、積雪期定期的に実測を行った。これは、融雪終了まで継続する。頻繁な積雪期の山岳登はんは困難なため、山頂付近まで定期運行しているヘリコプタ-を可能な限り利用した。積雪の深さは、地表付近の温度形成にとって非常に重要な因子であるため、その量的変化を捉えることは、温度環境解析にとって不可欠である。連続的な積雪の深さの安価な測定方法は、現在のところないため、目視による現地観測を続けている。この他、積雪密度、土壌水分、土壌密度等の調査も行った。地温および地中熱フラックスのデ-タの回収は、次年度以降に行い、解析はその後実施する。
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