1989 Fiscal Year Annual Research Report
金属イオンをつかまえる-イオン交換体を使った実験教材の開発
Project/Area Number |
01580269
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
荻野 和子 東北大学, 医療技術短期大学部, 教授 (40004353)
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Keywords | イオン交換体 / キレ-ト樹脂 / 実験教材 / 金属錯体 / カラムクロマトグラフィ- |
Research Abstract |
報告書は、セルロ-スイオン交換体であるSP-及びQAE-セファデックスの非常に小さいクロマトグラフィ-用カラムを使うことにより、簡単に短時間(5分程度)でイオン交換クロマトグラフィ-を行う方法を考案した。本研究では、このカラムおよび類似の方法を使った次の教材を開発した。また、いくつかの中、高校の教員有志の協力を得て、これらの教材を授業あるいはクラブ活動において実施し、マニュアルを改善した。 1.イオン交換カラムクロマトグラフィ-を用いたイオン概念の学習のための実験教材:セファデックスは無色なので、着色したイオンの吸着、溶離が明瞭に観察できる。また、体積もイオンの価数に依存する。これらのことを利用して、種々のイオンの電荷(正負、その価数)を示すことができ、イオン性化合物とその電離についての概念を生徒に与えることができる教材を開発した。 2.金属イオンおよび金属錯体の性質を視覚的にとらえる実験教材の開発:銅、コバルトなどの遷移金属イオンのセファデックスへの吸着と溶離、その上でのアンミン、EDTA錯体の生成、分解などの反応を行い、これらの錯体の色、電荷や安定性、錯体生成反応に対するpHの効果などを示すことができた。また、金属イオンの混合物を分離し、クロマトグラフィ-の原理を理解させる教材を開発した。 3.キレ-ト樹脂を用いた金属イオンの吸着と溶離:キレ-ト樹脂は、先端技術に不可欠な貴金属や希少金属(レアメタル)の単離、粗製あるいはリサイクルによる資源の有効活用や廃液からの金属の除去などに利用されている。キレ-ト樹脂により、コバルト、ニッケルなどの金属イオンの分離を行い、樹脂の選択性、金属の性質の多様性等を示す教材を開発した。
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