1989 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアをタ-ゲットとした選択毒性を有する新しい制癌剤と癌診断薬の開発
Project/Area Number |
01880022
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
樋口 富彦 徳島大学, 薬学部, 助教授 (50035557)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳 義和 住友製薬株式会社, 研究所, 主任研究員
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Keywords | ミトコンドリア / 制癌剤 / 癌診断薬 / Sarcoma180 / 白血病由来細胞(P388) |
Research Abstract |
平成元年度に得られた重要な成果として下記の2点を上げることができる。 1)TZ1-1,TZ3-3,TZ3-4,TZ3-8とTZ3-13が、0.1μg/ml以下の濃度で、肉腫由来癌細胞(Sarcoma 180)及び白血病由来細胞(P388)の細胞増殖を完全に抑制すること、又、in vivoでの制癌剤薬効評価試験においても極めて有効であることが明らかになった。 2)ラット肝から機能の異なると思われる3種類のタイプのミトコンドリアに分けて単離精製できることを明らかとした:一つは、常法によって得られるミトコンドリア(I型)であり、二つめは、I型の約1.3-1.5倍の呼吸活性とATP生成能を有するII型、そしてもう一つのタイプは、呼吸活性はあるにもかかわらずATPを産生しないIII型である。特に興味深いのはIII型のミトコンドリアで、その呼吸鎖成分はI型のそれらとはかなり異なっているだけでなく、ATPase活性はオリゴマイシンに対して非感受性であった。驚いたことに、III型のミトコンドリアの蛋白合成活性は、I型とII型のそれの9-11倍と高く、しかもこの活性はサイロイドホルモンによって著しく促進された。この新しいタイプのIII型のミトコンドリアの量は、老化とともに少なくなった。これらの異なった3種類のミトコンドリアの性質を明らかにすることが、ミトコンドリアをタ-ゲットとした制癌剤の開発研究には必須であるため、これらの研究を急遽加えて行ってきた。その結果、著者らが開発中の制癌剤は、これらの3つのタイプのミトコンドリアに対する作用が、顕著に異なっていることが明らかとなった。今回発見された新しいタイプのミトコンドリアは、ミトコンドリアのバイオジェネシスの機作と老化現象を解明する上で、生物学的のみならず医学的に、極めて重要であることが明らかになってきた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Higuti,T.: "A Hydrophobic Protein Chargerin II,Purified from Rat Liver Mitochondria Is Encoded in the Unidentified Reading Frame A6L of Mitochondrial DNA" J.Biol.Chem. 263. 6772-6776 (1988)
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[Publications] Oda,T.,: "Orientation of Chargerin II(A6L)in the ATP synthase of Rat Liver Mitochondria Determined with Antibodies against Peptides of the Protein" Biochem.Biophys.Res.Commun. 165. 449-456 (1989)
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[Publications] Higuti,T.: "A Hydrophobic Protein,Chargerin II,Purified from Rat Liver Mitochondria Is Encoded in the Unidentified Reading Frame A6L of Mitochondrial DNA" In:Molecular Structure,Function and,Assembly of ATP Synthases(S.Marzuki,ed)Plenum Press,. 271-277 (1990)
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[Publications] Muraguchi,M.,: "Stoichiometry of Chargerin II(A6L)in the H^+-ATP Synthase of Rat Liver Mitochondria." Biochem.Biophys.Res.Commun. (1990)
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[Publications] Yoshihara,Y.,: "H^+-ATP Synthase from Rat Liver Mitochondria.A Simple Rapid Purification Method of The Functional Complex and Its Characterization." J.Biol.Chem.
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[Publications] Turumi,T.,: "cDNA Sequence of the Import Precursor of the Subunit b of H^+-ATP Synthase from Rat Mitochondria." Biochemistry.
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[Publications] 樋口富彦: "生体膜における電子移動-ミトコンドリアを例として-「バイオ素子開発と設計」赤池敏宏・品川嘉也編集" ミマツデ-タシステム, 34 (1989)
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[Publications] 樋口富彦: "ドットブロットとウエスタンブロット法「細胞・抗体・遺伝子基礎実験法」-蛋白質を中心として 堀尾武一監修" 南江堂, (1990)