2002 Fiscal Year Annual Research Report
安定な原子核とエキゾチックな原子核に対するランダムなハミルトニアン
Project/Area Number |
01F00021
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
吉永 尚孝 埼玉大学, 理学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHAO Yu?Min 埼玉大学, 理学部, 外国人特別研究員
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Keywords | ランダムハミルトニアン / 殻模型 / 原子核構造 / 対相互作用 |
Research Abstract |
原子核の基底状態では本質的に対相互作用が古くから重要であることが知られており、原子核は最も小さな"超伝導物質"と考えられている。対相互作用が重要であるという最も顕著な証拠は、中性子・陽子がそれぞれ偶数である偶々核で一つの例外もなく基底状態のスピンが0であることである。ところで、最近の非常に面白い数値実験として、相互作用に強い対相関相互作用を使わず、ランダムな相互作用を用いても、多くの場合基底状態のスピンが0になることが示された。このことを理解するため、この研究では主に単一粒子軌道模型を用いて、現象の再現とその原因を調べた。その結果として、ある特定の相互作用が強い場合は基底状態のスピンが0になることを確認した。そのような相互作用を特定するためには、その相互作用を多粒子系で対角化し、そのときスピンが0になるエネルギーが一番低くなれば特定できる。すなわち、ランダムな相互作用を用いたとき、スピンが0になる確率は、独立な相互作用の数に比べ、スピンが0になる特定の相互作用の数の割合で決まる。スピンが0になる確率が大きいということは、このような特定の相互作用の数が他のスピンに比べて大きいことを意味する。以上のことを、我々はフェルミオン系のみならずボソン系でも確かめた。いくつかのボソン系ではスピンが0になる確率がゼロになる"反例"も論理的に見つけることができ、これも我々の解析が正しいことを示している。また、ランダムなハミルトニアンを用いたときの平均のエネルギーの振る舞いについても考察し、このエネルギーが回転レベルをなすことを統計理論を用いて正当化した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] N.Yoshinaga: "The O^+ predominance in nuclear physics"Journal of Physics A : Math. Gen. 35. 8575-8585 (2002)
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[Publications] Y.Zhao: "Simple approach to the angular momentum dictribation"Physical Review C. 66. 034302-034304 (2002)
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[Publications] Y.Zhao: "Many-body systems interacting via a two-body I"Physical Review C. 66. 064322-064414 (2002)
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[Publications] Y.Zhao: "Many-body systems interacting via a two-body II"Physical Review C. 66. 064323-064326 (2002)