2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01F00034
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上田 豊 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KAYASTHA Rijan Bhakta 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 氷河 / ヒマラヤ / 水資源 / 融解量 / 融解係数 / 日射 / 融解量算定モデル |
Research Abstract |
ヒマラヤの氷河縮小は、近年地球上で最も顕著であり、氷河の融解水を水資源としている現地国にとって深刻な問題となっている。そこで氷河の融解量を適切に算定し、将来の水資源変動を予測して、合理的な水の管理・利用を計画していく必要があるが、ヒマラヤには大小さまざまな氷河が分布しながら気象・水文データは極めて限られているので、簡便な方法で、より正確に氷河の融解量を算定するモデルの開発を研究目的とした。 これまで、ヒマラヤのなかでもデータが比較的多く得られている氷河について、正の日平均気温の積算値に対するその期間の融解量との比である融解係数を得ているが、ネパールのランタン・ヒマールやチベット高原の氷河についても可能なかぎり融解係数を求めた。さらに下流部が岩屑に覆われた大型氷河についても、既存のデータから融解係数を求めた。融解係数は日射条件によって変化することが判明しているので、日射による影響の考察を加えた。 ヒマラヤの大型氷河は下流部表面が岩屑に覆われており、水資源の多くは岩屑下の氷の融解によるが、観測が困難でデータが限られている。その融解量を算定する簡便なモデルを、岩屑の熱的影響を効果的に取り込んで改良した。ランタン・ヒマールでは、岩屑に覆われた大型氷河がある二つの流域について、岩屑の熱的性質を考慮した融解モデルを作成した。それをもとに計算した融解量と雨量の和が観測された流出量とほぼ一致し、この方法に見通しが得られた。 研究分担者外国人特別研究員はヨーロッパ地球物理学連合総会(ニース、4月)に出席し、これまでの成果を発表し有意義な討論ができた。また、これらの成果を論文にまとめ、学術誌に発表した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kayastha, R.B. et al.: "Positive degree-day factors for ice ablation on four glaciers in the Nepalese Himalayas and Qinghai-Tibetan Plateau"Bulletin of Glaciological Research. 20. 7-14 (2003)
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[Publications] Kayastha, R.B. et al.: "Use of positive degree-day method for calculating snow/ice melting and discharge from glacierized basin in Langtang Valley, central Nepal"Climate and Hydrology in Mountain Areas(John Wiley & Sons. Ltd). (in press). (2003)