2002 Fiscal Year Annual Research Report
マントル物質の相平衡と物性と下部マントルの不均質性
Project/Area Number |
01F00036
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大谷 栄治 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VANPETEGHEM Carine B. 東北大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 状態方程式 / ダイヤモンドアンビル / δ-AlOOH / Egg相 / NAL相 / 含水鉱物 / マントル遷移層 / 下部マントル |
Research Abstract |
本研究では、ヘリウムを圧力媒体として用いたダイヤモンドアンビルを用いて、マントルに存在し得る様々な高圧鉱物の状態方程式を決定した。ヘリウムの封入には、物質・材料研究機構物質研究所との共同研究として、封入装置を使わせていただいた。また、放射光実験には、高エネルギー研究機構、放射光実験施設および高輝度光科学研究センターの放射光を利用した。 1 含水鉱物のδ相の高圧下での圧縮実験を約22.5Gpa程度の条件まで行い、体積弾性率Kとその圧力依存性K'を明らかにした。その結果、K=252Gpa及びK'=4という結果が得られた。この結果は、この高圧相が含水鉱物であるにもかかわらず、非常に大きな体積弾性率を持つことが明らかになった。この鉱物は、知られている含水鉱物のなかで、最も大きな体積弾性率をもつことが明らかになった。この研究はGeophysical Research Letters(2002)に印刷されている。 2 Egg相AlSi030Hの状態方程式を同様の方法で、40Gpaの条件まで明らかに,その結果、体積弾性率K=157Gpa、K'=6.5という結果を得た。この値は、マントル遷移層に存在する無水鉱物に匹敵するものであり、水が多いのにも関わらず、非常に固く縮みにくい物質であることが明らかになった。また、結晶の縮みに異方性があり、ac軸方向に固く、b軸方向に柔らかいことが明らかになった。このような、異方性は結晶内部での水素のサイトに依存する。この結果は、American Mineralogistに投稿し、原稿を改訂中である。 3 NAL相:マントルに沈み込むプレート内部の重要な鉱物であるNAL相の状態方程式をヘリウム圧媒体を用いたダイヤモンドアンビルセルをもちいて36Gpaまでの圧縮実験によって明らかにした。その結果体積弾性率をK=214Gpa,その圧力依存性K'=3という結果を得た。この結果は、組成が大きく異なるNAL相のOno et al.(2002)の結果と良くにた値となった。この成果は、Physics of the Earth and Planetary Interiors誌に投稿中である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Vanpeteghem, C.B., Ohtani, E., Kondo, T.: "Equation of state of the hydrous phase δ-AlOOH at room temperature up to 22.5 GPa"Geophysical Research Letters. 29. 1119-1122 (2002)