2003 Fiscal Year Annual Research Report
GdYCOB結晶の耐光損傷耐特性の向上と高出力紫外レーザー光源への応用
Project/Area Number |
01F00038
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐々木 孝友 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BRAHADEESWARAN SRINIVASAN 大阪大学, 大学院・工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | GdYCOB / 紫外光 / 光損傷 / 化学量論比 / 不純物 / 焼結体 / チョクラルスキー法 / 非線形光学結晶 |
Research Abstract |
GdYCOB(又はYCOB)結晶の光損傷耐性を向上させるために、今年度は結晶に適当な不純物添加を行うことを試みた。光損傷が生じることが知られているLiNbO_3結晶においては、MgOなどの不純物添加によって損傷閾値が向上することがわかっているので、同様の効果を期待したものである。不純物の探索の際には、焼結体の粉末試料に紫外光を照射することで、光損傷耐性を調べた。その中で、耐性向上が確認できた試料について、実際に結晶育成を行った。 まず、不純物を添加していないGdYCOBの結晶粉末と焼結体に266nm紫外光(数MW/cm^2)を15秒間照射したところ、どちらの試料においても光損傷による着色が確認できた。このことから、焼結体を作製した段階で、既に光損傷の原因は含まれていると判断できる。この焼結体に種々の金属酸化物を添加して再焼結を施し、再び紫外光照射実験を行った。その結果、ある元素を添加した場合には、着色がほとんど見られないことがわかった。そこで、この原料から実際にチョクラルスキー法を用いて単結晶育成を試みた。育成時に融点の大幅な低下、融液粘性の低下などの著しい条件変化が起きたたが、透明領域を含む単結晶を得るに至った。ここから粉末試料を作製し、上と同様の紫外光照射実験を行ったところ、焼結体と同様に結晶においてもほとんど着色は見られなかった。しかしながら、結晶の組成分析を行ったところ、添加不純物の混入は確認できなかった。一方で、構成元素の組成比は、化学量論比組成に近づいていることが明らかになった。従来の無添加原料から得られた結晶では、常にCa、Bの組成比ずれが生じていた。このことから、今回添加した不純物は、結晶のGdYCOB組成比をより化学量論比組成に近づけるという機能を果たし、それにより損傷耐性が改善したものと考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Y.Syuto, S.Brahadeeswaran et al.: "INFLUENCE OF GROWTH PARAMETERS ON GRAY-TRACK FORMATION IN Gd_xY_<1-x>Ca_4O(BO_3)_3"Proceedings of the 5th Pacific Rim Conference on Lasers and Electro-Optics. THP-4 (2003)
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[Publications] R.Kuwabara, S.Brahadeeswaran et al.: "Influence of dopants on photo-induced damage in Gd_xY_<1-x>Ca_4O(BO_3)_3 crystal"Proceedings of the Fourteenth International Conference on Crystal Growth. (To be published). (2004)
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[Publications] 桑原涼, S.Brahadeeswaran 他: "Gd_xY_<1-x>Ca_4O(BO_3)_3結晶の光損傷耐性に対する不純物添加の効果"第51回応用物理学関係連合講演会. 28a-ZC-1 (2004)
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[Publications] 桑原涼, S.Brahadeeswaran 他: "GdYCOB結晶の光損傷耐性に対する育成原料の熱処理効果"第48回人工結晶討論会講演要旨集. 27-28 (2003)