2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01F00054
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
大里 齊 名古屋工業大学, 工学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BALASUBRAMANIAN Sundarakannan 名古屋工業大学, 工学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 無鉛 / ニオブ酸カリウム / 複素誘電率 / 抵抗率 / 化学量論性 / 欠陥構造 / 誘電緩和 / ホッピング伝導 |
Research Abstract |
鉛フリー強誘電・圧電材料の一種であるニオブ酸カリウム(KNbO_3)は難焼結性であり、セラミックス合成に関して、内外で精力的に研究が進められている。 前年度には、チタン酸カルシウム(CaTiO_3)添加による固溶体セラミックスの合成を試みたが、未だ焼結性に乏しく、2次析出相の抑制などの制御が困難であることが判明した。そこで、今期はニオブ酸カリウムの本質的な焼結性および誘電特性に及ぼす諸因子を明らかにする目的で、インピーダンス解析を主体とした数値解析の側面からアプローチを試みた。 テスト材料は化学量論組成となるように調合、焼結合成したKNbO_3であり、最適焼成プログラムによって得たベストサンプルである。室温からキュリー点を越えた550℃までの温度範囲で精密に誘電率の周波数依存性および温度依存性を測定したところ、230℃および420℃付近の構造変態点以外に、低温領域の100-200℃間で、誘電率の周波数依存性が認められた。このような現象は同様な温度依存の構造変態を示すチタン酸バリウム.(BaTiO_3)では全く観測されないことであり、複素誘電率のコール・コールプロット解析を行ったところ、特異な誘電緩和現象が認められた。さらに、抵抗率の温度依存および周波数依存性を調査し、Jonscherフィッティングを実施したところ、サンプルが微弱な伝導性を示していることが明らかとなった。低温域において観測されたこれらの特異な現象は、カリウムイオンの蒸発によるペロブスカイト中の欠陥構造に関連しており、直流/交流伝導性を調べた結果、熱的に活性化されたK^+イオンのホッピング伝導によることが証明された。 以上の成果は、KNbO_3の難焼結性および化学量論制御の困難さに対して、その原因を本質的に探る成果であり、現在、国際的な専門誌であるJournal of Applied physicsにて論文審査中である。
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