2002 Fiscal Year Annual Research Report
再生セルロースの分子鎖極性-平行・逆平行鎖構造について-
Project/Area Number |
01F00097
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 淳司 京都大学, 木質科学研究所, 助教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HULT Eva?Lena 京都大学, 木質科学研究所, 外国人特別研究員
|
Keywords | 再生セルロース / キチン / 分子鎖極性 / セルラーゼ / キチナーゼ |
Research Abstract |
セルロースの結晶多形間での分子鎖の方位を可視化により明らかにすることを目的とした。これによって多形間での変体過程が分子レベルで解明され、セルロース分子鎖の特性に関して新しい知見が得られる可能性がある。セルロースIII型、IV型にはそれぞれI型、II型を出発物質とするIII_I、III_<II>、IV_I、IV_<II>の4種類の分子鎖形態がある。これらの結晶多形の標準サンプルを調整し還元末端法により電子顕微鏡観察を行った。セルロースIII_I多形については末端銀染色法により良好なラベル化が認められ、平行鎖であることが証明された。IV_Iについてはミクロフィブリル自体の反応性が低下するためか染色効率が悪かったが平行鎖であることが示唆された。III_<II>並びにIV_<II>については単結晶を得ることができず結論を出すに至らなかった。セルラーゼによる分解をセルロースIII_Iについて行ったところ予想通り微結晶の片端からセルロースが分解され平行鎖が支持された。 セルロースと同じ直鎖状結晶性多糖類であるキチンについても分子鎖の極性についてハオリムシのβ-キチンを用いて検討した。β-キチンは平行鎖であることが染色法並びに電子回折法による結晶学的な考察より明らかになった。またセラチア菌のキチナーゼAとBはβ-キチンの分子鎖に対して選択性があり、前者は還元末端側から、後者は非還元末端側から分解していくことが可視化された。
|