2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01F00098
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉田 孝 北見工業大学, 工学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LU RONG 北見工業大学, 工学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 天然漆多糖 / メチル化 / 酸分解 / 硫酸化 / 粘度 |
Research Abstract |
アジアの各国及び地域産の天然漆多糖の構造は、NMR、酸分解、メチル化分析により、主鎖がβ-1,3ガラクトース、枝にアラビノース、グルクロン酸、ラムノース、4-O-メチルグルクロン酸等が存在することを明らかにした。 天然漆多糖は強い抗腫瘍性、血液凝固促進作用があることを見出した。硫酸化後には、高い抗HIV作用と伴に低い抗凝血作用を示すことが分かった。そこで、漆多糖類の構造を詳細に明らかにするために、ベトナム、中国建始、中国杭州、中国東蘭県の漆山に行って、漆多糖類を山で採取・抽出し、構造をNMR、メチル化分析などを用いて詳細に比較検討したところ、主鎖がβ-1,3ガラクトース、枝に違う割合のアラビノース、ウロン酸、ラムノース、4-O-メチルウロン酸等が存在することが判った。NMRスペクトルから比較すると、ベトナム、中国毛〓、中国建始、中国杭州、中国東蘭県漆は同一種類漆という結果が判明した。生理活性を調べたところ、抗腫瘍作用、血液凝固促進作用があることを示した。これは主鎖のβ-1,3ガラクトース構造との関係があると推定した。 漆樹液中での漆多糖類の働きは、漆塗膜の耐久性の向上と言われているが、定かではでない。そこで、漆樹液中での作用機構を調べる目的で、マオバ漆多糖を用いて純水中、食塩水中での粘度を詳細に調べたところ、高分子電解質の性質を示すことが分かったが、塩濃度を上げると粘度は振動しながら逆に大きくなっていくことを見出した。これはアルギン酸やヒアルロン酸などの酸性多糖にはない性質であり、漆多糖の構造に基づくものと推定した。 漆多糖類の研究は、経験的な判断のみしかなく、総合的・科学的研究はこれまでにあまり行われていない。中国では古くから漢方薬として使われているが、作用機構は調べられていなかった。そこで、上記基礎研究によって漆多糖類の生理活性メカニズム、漆樹液での作用機などを解明することは、漆多糖類が天然原料からなる次世代医薬として応用できると期待している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Rong Lu, Takashi Yoshida: "Structure and Molecular Weight of Asian Lacquer Polysaccharides"Carbohydrate Polymers. (In print). (2003)
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[Publications] 陸 榕, 吉田 孝: "天然多糖類の構造解析と生理活性"高分子学会北海道支部研究発表会・講演要旨集. Vol.36. 50 (2002)