2002 Fiscal Year Annual Research Report
カブトショウジョウバエ亜科の系統進化と多様性形成機構に関する研究
Project/Area Number |
01F00111
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
青塚 正志 東京都立大学, 理学研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陳 宏偉 東京都立大学, 理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 生物多様性 / ショウジョウバエ科 / カブトショウジョウバエ亜科 / 東アジア地域 / 分子系統 |
Research Abstract |
生物学の多くの分野で重要な研究対象となっているキイロショウジョウバエが属するショウジョウバエ亜科(Drosophilinae)についての分類,系統学的研究は膨大な数に及ぶ.しかし,ショウジョウバエ科のもう一つの亜科であるカブトショウジョウバエ亜科(Steganinae)の系統については全くといってよいほど解明されていない.記載されている種数も,ショウジョウバエ亜科に比べて非常に少ない.本研究では,カブトショウジョウバエ亜科の起源と放散に強くかかわりをもつ東アジア地域を対象に,本亜科の主要な属,Amiota属,Phortica属,Leucophenga属について分類系統学的,分子系統学的研究を行った.また同時に,Drosophilinaeでは特に多くの系統進化学的研究が成されているobscura群について東アジアでの多様性を調査した.その結果,Amiota属の137の個体標本に9既知種と12未記載種が含まれること,Phortica属の458の個体標本に19既知種と5未記載種が含まれることが判明した.また,種の分布,数から両属はその起源を南中国に発することが推論された.現在,新種記載の作業を行っている.また,これらの標本を用いてmtDNA塩基配列を指標にして系統進化学的解析を行っているが,これまでの結果は,形態形質から予想されている種間系統関係を強く支持するものとなった.日本の琉球列島に生息するSteganinae相は大陸との関連性が強く,その調査研究は本科の歴史の解明に重要な知見を与えてくれるものと期待されるが,西表島で採集調査を行った結果,約3100個体の標本の中にLeucophenga属36既知種と3新種が含まれることが判明した.obscura群については,1新種の記載と新種群の設定を行った.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Chen, H.-w., Aotsuka, T.: "A survey of the genus Leucophenga (Diptera, Drosophilidae) in Iriomote-jima of Japan, with Descriptions of Three New species"The Canadian Entomologist. 135. 1-16 (2003)
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[Publications] Jian-jun Gao, Hide-aki Watabe, Masanori, J, Toda, Ya-ping Zhang, Tadashi Aotsuka: "The Drosophila obscura species-group (Diptera, Drosophilidae) from Yunnan Province, Southern China"Zoological Science. (印刷中). (2003)
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[Publications] CHEN, H.-W., TODA, M.J.: "A study of Amiota (Amiota) sinuata species-group from eastern Malaysia"Sabah Parks Nature Journal. (印刷中). (2003)