2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01F00117
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
米山 弘一 宇都宮大学, 野生植物科学研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
周 偉軍 宇都宮大学, 野生植物科学研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 根寄生雑草 / カルス誘導 / 植物ホルモン / 発芽刺激物質 / 酵素 / 遺伝子 / Orobanche spp. |
Research Abstract |
根寄生雑草Orobanche類の宿主認識機構の解明には、インビトロで寄生が観察できる実験系を構築することが重要である。そこでまず、Orobanche ramosaおよびO.minorの種子を材料としてカルス誘導を試みた。その結果、用いる培地によって形状や増殖速度の異なるさまざまなカルスを得ることができた。効率的なカルス誘導には、種子を一定期間湿潤暗黒下で培養し(コンディショニング)、発芽刺激物質(GR24など)で処理する必要があることが分かった。また、アンモニア態窒素の豊富なMS培地に比べて、アンモニア態窒素含量の低いB5培地の方がカルス誘導には適していた。高濃度のアンモニア態窒素はカルス誘導に阻害的に作用するものと考えられる。培地に添加したビタミン、植物ホルモンのバランスによって不定根あるいは芽状組織の分化が認められ、形態形成(分化)には内生植物ホルモンの関与が強く示唆された。 次の段階として、誘導したカルスを用いてインビトロ寄生系の確立を試みた。無菌条件下寒天培地で栽培した宿主植物(アカクローバー、トマト)の根にカルスを乗せ、一定期間培養後、寄生の有無を観察した。その結果、比較的増殖速度が遅く、不定根様の組織を分化したカルスのみが宿主の根に寄生することが分かった。なおこの際、カルスが培地と接触すると寄生できずに死滅したため、宿主の根と培地の間にカバーグラスを敷き、カルスを培地と接触させないようにした。ちなみに、O.minorからのカルス誘導は本研究が初めての例であり、無菌条件下での寄生確立の成功例も極めて少ない。 今後、カルスからの不定根および芽状組織の分化に及ぼす植物生理活性物質の影響の検討や、宿主の根に侵入に関わる酵素、遺伝子などの解析を進める予定である。
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