2002 Fiscal Year Annual Research Report
高炭酸ガス濃度が植物と生態系の炭素と窒素の流れに及ぼす影響のメカニズム解明
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01F00124
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
蔵田 憲次 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KIM Han?Yong 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | イネ / 二酸化炭素 / 地球環境 / 窒素肥料 / 葉窒素濃度 / 生長 |
Research Abstract |
高CO_2濃度は、植物の光合成速度を高めて生長を促進するが、植物を継続的に高CO_2濃度下に置くと生長促進効果が徐々に減退する。本研究では、CO_2濃度上昇によるイネの生長促進効果とその減退について、炭素・窒素の流れとの関係を定量的に解明するために、2001年に引き続き実験を行った。 2001年の実験結果は、高CO2濃度によるイネの生長促進効果が、窒素追肥によって高まることでは事前の予想と一致したが、窒素追肥時期による違いはみられなかった。興味深いことに、窒素追肥後すぐに高CO2濃度の生長促進効果が高まるのでなく、30日前後の遅れがあるように見られた。また、イネの収量に及ぼす高CO2濃度の影響には、追肥時期による違いが明確でなかった。 2001年の実験結果を受けて2002年の実験では、幼穂形成期に窒素追肥した後、植物体窒素濃度がどう変化するかを調べた。その結果、葉中窒素濃度は追肥後すぐに高まるが、その後急速に低下すること、特に高CO2濃度下で低下が著しいことが分かった。葉窒素濃度の群落内高度別分布を調べたところ、高CO_2濃度による葉窒素濃度の低下に対応して、特に群落下層で窒素濃度が低下した。この実験結果について、群落光合成モデルを用いて予備的な解析をしてみると、葉窒素濃度の低下が群落光合成速度低下の主原因であるが、葉窒素濃度の群落内分布も群落光合成に無視できない影響があることが分かった。窒素追肥から群落内の葉窒素濃度分布の変化にかかる期間と、光合成速度の変化が生長量の変化として表れるまでの時間が、2001年の実験結果で見られた時間遅れを生んだ可能性がある。
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Research Products
(1 results)