2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01F00127
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土井 邦雄 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ALBARENQUE Stella Maris 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ラット / 表皮細胞 / 初代培養系 / T-2 toxin / アポトーシス / アポトーシス関連遺伝子 |
Research Abstract |
T-2 toxinはFusarium属真菌の産生するマイコトキシンで、リンパ造血系臓器にapoptosisによる組織傷害を惹起することで知られている。研究分担者のアルバレンケはこれまで、T-2 toxinを直接塗布したラット背部皮膚でも表皮細胞にapoptosisが惹起されることを初めて明らかにし、apoptosisの発現に関与する諸因子についてin vivoで検討を加えてきた。本研究では、真皮の影響を除去し、T-2 toxinの表皮細胞への直接作用を明らかにすべく、ラット由来表皮細胞初代培養系を確立した。ついで、この初代培養系に0.25μg/mlのT-2 toxinを添加し、0.5〜12時間後にかけて表皮細胞を単離して、細胞の生存率、形態変化およびRT-PCR法によるapoptosis関連遺伝子およびcytokine遺伝子のmRNAの発現の推移を検索した。その結果、細胞生存率は添加12時間後に40%に減少した。また、形態学的には、細胞体の萎縮と核濃縮を特徴とする表皮細胞のapoptosisが6時間後から認められ、その数は12時間後に最大値に達した。一方で、細胞増殖活性の指標であるPCNA陽性表皮細胞数は3から12時間後にかけて顕著に減少した。さらに、今回検索したapoptosis関連遺伝子およびcytokine関連遺伝子のうち、c-fos、c-junおよびTNF-αmRNAの発現は、apoptosisの発現に先立つ添加0.5時間後から顕著に増加した。こうした所見から、T-2 toxin誘発表皮細胞apoptosisにはc-fos、c-junおよびTNF-αが密接に関与していることが示唆された。また、こうしたin vitroの所見は上記のin vivoでの所見と良く対応していた。現在、この2年間で得られた研究成果を2編にまとめて国際学術誌に投稿すべく、準備中である。
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