2002 Fiscal Year Annual Research Report
酪酸塩の一酸化窒素生成及び誘導型一酸化窒素合成酵素の発現量に及ぼす影響
Project/Area Number |
01F00135
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
菅原 和夫 弘前大学, 医学部, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU QIANG 弘前大学, 医学部, 外国人特別研究員
|
Keywords | 酪酸塩 / 一酸化窒素 / 誘導型一酸化窒素合成酵素 / 好中球 / 潰瘍性大腸炎 |
Research Abstract |
本研究には二つの目的がある。一つ目は、酪酸塩に一酸化窒素に対する除去作用があるかを調べること。二つ目は、酪酸塩が誘導型一酸化窒素合成酵素の発現と活性に影響するかを調べること。前年度は電子スピン共鳴ESR法を用いて酪酸塩の一酸化窒素に対する除去作用を調べたが、今年度はさらに、ELISA法及びRT-PCR法を用いて、ヒト好中球の一酸化窒素生成と誘導型一酸化窒素合成酵素のmRNA発現量について調べた。 従来のHistopaque 1077と1119の重層分難法を改良し、Mono-Poly Resolving Mediumを導入したことによって、分離率の高い好中球の分離方法を確立した。正常人より分離した好中球を96穴Microplateにて酪酸塩と10分間incubationしてから、刺激剤のPMA、TNF-α及びLPSと6時間incubationを行った。培養液を遠心し、上清液における一酸化窒素の代謝産物をCayman Nitrate/Nitrite Colorimetric Assay Kitで測定し、好中球のpelletよりQIAGEN RNeasy Mini KitでTotal RNAを抽出し、Promega RT SystemでcDNAを作成してから、Takara PCR Kitで誘導型一酸化窒素合成酵素iNOSの発現量を調べた。 培養6時間の上清液に置けるNitrateとNitriteの量は刺激剤の種類に関わらず、いずれも最小測定可能範囲の5μM以下だった。N^G-Hydroxy-L-Arginineとincubationした好中球の上清液でもNitrateとNitriteの量は測定不可能であった。一方、RT-PCR法で増幅した誘導型一酸化窒素合成酵素iNOSの発現量は予想の394-bp長さのレベルで弱いバンドを示したものの、酪酸塩とincubationした好中球のバンドの濃さに顕著な変化は認められなかった。以上より、正常人の好中球は誘導型一酸化窒素合成酵素iNOSのわずかな活性化が見られたことより、微量な一酸化窒素を生成していると推測された。しかし、それは酪酸塩の影響を受けなかった。 酪酸塩の潰瘍性大腸炎患者の好中球における影響について調査を計画したが、外来の患者には副腎皮質ステロイド剤及びサラゾピリンの治療を受けてない症例を見つけられず、予定期間内では実現することは出来なかった。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Liu Q, Shimoyama T, Nakaji S, Umeda T, Sugawara K.: "Sodium butyrate has no scavenging effect on nitric oxide : Assayed with Electron Spin Resonance"Journal of Physical Fitness, Nutrition and Immunology. 13(1). 3-8 (2003)