2002 Fiscal Year Annual Research Report
実験近視モデルヒヨコ網膜において変化する遺伝子群の発見と解析
Project/Area Number |
01F00140
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
根木 昭 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ESCANO Michael F. T. 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 近視 / ヒヨコ / 実験近視モデル / 網膜 / BMP |
Research Abstract |
目的:近視モデルヒヨコを用いて、形態遮断による眼球発育に関係する遺伝子の発現の変化と網膜前駆細胞に与える影響を解析する。 対象と方法:生直後のヒヨコの右眼に不透明なゴーグルを装着した状態で、3日、7日、14日間飼育することを行った。遮蔽を行わないヒヨコを対照とし、遮蔽後3日、7日、14日において各々の網膜からmRNAを抽出した。得られたmRNAをcDNAに変換した後、様々な特異的プライマーを用いて判定量的RT-PCR法にて解析を行った。変化のあった遺伝子についてWestern blot解析法を用いて蛋白レベルの解析を行った。また、遮蔽3日後に網膜を摘出し細胞に分離し、neurosphere法を用いた培養を施行し、形成されたneurosphere数を対照眼と比較した。 結果:遮蔽眼の眼軸長は非遮蔽眼に比較して有意に延長しており、特に遮蔽3日、7日において著明であった。判定量的RT-PCRでは、BMP-2のみ遮蔽3日、7日で有意に非遮蔽眼に比較して発現の低下を示した。Western blot法にては、遮蔽7日、14日において有意な発現の低下が確認された。また、neurosphere法にて遮蔽眼のneurosphere形成能は非遮蔽眼に対し有意に増加しており後極部網膜においても顕著であった。 結論:BMP-2は眼球発育においてTGF-beta 2やsonic hedgehogなどの形態を規定する遺伝子と関連して作用する遺伝子である。今回の結果は、BMP-2が近視の形成の重要な因子の一つである可能性を示唆している。近視モデル眼においてneurosphere形成能が増加していた事実は、形態遮断が生後の網膜前駆細胞に影響を及ぼすという可能性を示唆しており、今後の研究にてBMP-2の発現と網膜前駆細胞の関係につき検討する予定である。
|