2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01F00150
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
安井 金也 熊本大学, 発生医学研究センター, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LI Guorong 熊本大学, 発生医学研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | ナメクジウオ / 初期発生 / 母性因子 / T-box遺伝子 / β-catenin / 体軸形成 / 鰭形成 |
Research Abstract |
初期の発生と背側・頭部領域の確立の関係を明らかにするために、β-Cateninに注目して、免疫組織学的方法により、その分布パターンを未受精卵から初期原腸胚まで明らかにした。β-Cateninの細胞質内分布は第1分裂から非対称性が現れ、32細胞期まで確認された。その後、胞胚期では核内への移行が起こるが、脊椎動物と違い全細胞にそれが認められた。ところが、背側特異的遺伝子が発現する原腸陥入開始とほぼ同じ頃には、背側の細胞で高濃度の分布を示した。LiCl処理により、初期原腸胚期の核内β-Cateninの分布を動物極側に移動させることができた。それらの個体ではgsc, hlx3, otxの発現領域が動物極を中心とした放射相称に変わり、形態的にも放射相称的であるが、hnf3およびptxで確認した背腹、左右両軸は正常であった。これらの結果は、ナメクジウオでは発生の極めて早い時期から脊椎動物と違った分子機構が働いていることを示唆する。VegT関連遺伝子の単離については、原腸胚由来のcDNAライブラリーから得られた145個のT-box遺伝子クローンを解析したが、そのうち、T-brain/eomesodermin (T-br/eomes)が127個でTbx2/3/4/5が7個であった。さらに、ゲノムDNAおよびcDNAからPCR法によりVegT相当遺伝子断片の増幅を試みたが、増幅できなかった。現在未確認のT-box遺伝子クローンと思われるのが4個あるが、これまでの結果から、Branchiostoma belcheriではVegT関連遺伝子は存在しない可能性が高い。単離したT-box遺伝子の中で母性発現をするのはT-br/eomesのみで、このTドメイン内アミノ酸配列の中にはVegTと同じ機能領域が保存されている。Tbx2/3/4/5遺伝子はVegTに類似した配列を持つが、母性発現が無く中期原腸胚の原口縁腹側での発現が初めである。その後、原腸後端と尾端の外胚葉で発現が継続して、尾鰭の形成とともに尾鰭の伸長した外胚葉細胞で発現が認められ、鰭形成に関与していることが示唆される。また、脊椎動物で四肢の形成に重要なTbx4/5関連遺伝子断片の単離もPCR法により多数のプライマーで試みたが、いずれも増幅することができなかった。ホヤ類にもTbx4/5関連遺伝子は無い可能性があり、脊椎動物になって出現した可能性が高い。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Yasui, K, Li, G, Wang, Y, Saiga, H, Zhang, P, Aizawa, S: "β-Catenin in early development of the lancelet embryo indicates specific determination of embryonic polarity"Development, Growth and Differentiation. 44. 467-475 (2002)