2002 Fiscal Year Annual Research Report
Visuddhimagga(清浄道論)と達磨多羅禅経及び坐禅三昧経における瞑想の比較研究
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01F00152
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
蓑輪 顕量 愛知学院大学, 文学部, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RATNA Sraman Gyana 愛知学院大学, 文学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 坐禅三昧経 / Visuddhimagga / 清浄道論 / 不浄観 / Samatha / 止 / vipassana / 観 |
Research Abstract |
Gyana ratna Sraman氏と『坐禅三昧経』の読解研究を進めている。研究は、漢訳経典の現代語訳を作成し必要に応じてVisuddhimaggaと比較しながら読解を進める方法を取り、ほぼ読解作業を終えた。但し、漢文が難解であり読解に予想以上に多くの時間を要していることを告白せざるを得ない。なお、不浄観はVisuddhimaggaのKayagatasati-bhavanaと比較が可能であり、paliの伝統では不浄の観察の対象として登場する身体の部位は髪の毛から足に至るまで32カ所が挙げられるが、『坐禅三昧経』では36カ所が数え上げられる。中でも「脈」という用語から、中国医学思想上、重要な概念が本経に影響を与えていることが察せられた。また読解を進めた結果、『坐禅三昧経』は上座系の瞑想を整理すると共に、上座とは異質な仏の姿を観想するという新たな瞑想(大乗系と考える)が入り込んでおり、両者の関係を整理して説こうとしたのが本『坐禅三昧経』ではないかとの一応の結論を得た(この成果は蓑輪「『坐禅三昧経』における修行道」に述べた)。 また、現在、東南及び東アジア世界に行われている瞑想の実際を探るべく、平成14年9月には台湾を現地調査し、中台禅寺、法鼓山等に行われる瞑想の実際を調査し、それらがほぼsamatha(止)の系列に入ることを確認した。特に中国大陸の鼓山の伝統を受けると考えられる中台禅寺において「話頭禅」なるものが実際に行われていることを確認した。また12月にはミャンマーに現地調査に赴き、現在4つの流派(mahasi, ubhakin, swanlun, mokok)が存在するが、ほぼ体系的には入息出息を中心にsamatha(止)とvipassana(観)の両者を行っていることを確認した。また、平成15年2月には山形県善法寺の僧堂を訪ね、日本曹洞宗における瞑想の実際を調査し、そこでは「結跏趺坐」が強調されることを確認した。
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Research Products
(1 results)