2003 Fiscal Year Annual Research Report
アジアにおける持続可能な開発と貧困の解消に向けた地域開発戦略の再構築
Project/Area Number |
01F00173
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中井 検裕 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ティワリ インドラ 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 開発 / 政策 / サステイナブル / 貧困 |
Research Abstract |
本研究はアジアにおける経済発展のプロセスと現状が異なる、中国、インド、日本、ネパール、韓国・タイの6カ国を対象として、戦後の地域開発政策を詳細にフィールドワーク調査し、それらを比較検証することで、既存地域開発政策の限界を提示するものである。 本年度は前年度までの調査の分析を行い、研究のまとめとしている。まず前年度までに文献調査および現地のフイールドワークから、各国の地域開発政策について、それぞれの地域の特質・歴史的経緯が及ぼす影響の範囲、新社会資本の影響と政府の取り組みおよび関係者の考え方などが明らかになっている。これらを概観するとたとえばインドにおいては他の国と比較して住民主導の開発が進んでいる様子が確認できたが、インド・グジャラートの大震災によって復興が急務となり、当該地域の住民の生活を保障しつつ再開発を進めることが困難な課題として認識されてきている。ネパールでも住民主導の地域開発事例が存在するが、政府方針との不一致をどのように解消するかが問題となっている。 また、これらの国の比較対象として日本の事例を今年度初期に調査を行い、比較検討している。その結果から今後他の国でも課題となることが予想される地方分権および住民参加の要件を抽出した結果が下記である。 ・まず地方政府は当面の課題に対応しつつも、将来的な展望のもとに地域開発政策の布石を持っておく必要がある。震災等、直面した課題が大きい場合にこそ、それからの復興が一段落した後に具体的な方針を打ち出せるかがより問われることとなる。その際に新社会資本の提示を早い段階で行っておくことも有効な場合がある。 ・そのためには住民との連携面で、通常から相互の連携を考慮して活動を把握し合うことが重要である。これらが結果として災害復興時に有効に機能するケースが見られ、また地域開発政策構築の際の重要なソースとなる。
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