2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01F00178
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
俣野 博 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
婁 本東(Lou Ben?dong) 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 平均曲率流方程式 / 周期的進行波 / 空間(非)一様、異方性 / 特異極限間題 / 漸近解析 / 帯状領域 |
Research Abstract |
昨年度、俣野と婁は、境界が鋸の刃状の形状をした平面内の帯状領域における曲率流方程を考えた。ある条件下で、この方程式は「周期進行波」と呼ばれる解をもつ。この周期進行波の平均速度が、境界の形状にどのように依存するかを調べるのは応用上も重要な問題であるが、これまで全く結果がなかった。俣野は婁と共同で境界の鋸の刃の周期を限りなく小さくしていったときの極限における平均速度を調べ、形式的な漸近解析によって、極限速度を精密に予想することに成功した。 今年度は上に述べた周期進行波の平均速度を厳密な手法で評価し、予想が正しいことを証明した。詳しくいうと、平均速度の極限は、境界の凹凸の最大の傾きにのみ依存する。これは非常に意外な結果であり、我々自身も驚いている。 また、上の結果を、境界が準周期的凹凸をもつ場合に拡張することにも成功した。この場合、周期進行波ではなく「準周期進行波」なるものが出現するが、このような進行波は新しい概念であり、その正確な意味付けも行った。 我々は、さらに、周期的波状境界を持つ高次元シリンダー領域における界面進行波を考えた。その結果、進行波の平均速度は二次元と同じように評価され、極限進行波のプロファイルも類似の常微分方程式の解によって与えられることが分かった。
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