2002 Fiscal Year Annual Research Report
密度行列繰り込み群による2次元量子系および3次元古典系の解析
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01F00192
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西野 友年 神戸大学, 理学部, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GENDIAR Andrej 神戸大学, 理学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 繰り込み群 / 格子 / スピン系 / 密度行列 |
Research Abstract |
本研究の目的は、1次元量子系および2次元古典系に対して開発された精密な数値変分法である密度行列繰り込み群を、より高い空間次元を持つ系に応用する方法を開発することである。我々は密度行列繰り込み群が、ブロックスピン変換を表す行列の積で変分関数を表現していることに着目し、同様な変分関数構成が高次元系に対しても適用可能ではないかと考えた。そこで、3次元古典系の代表例であるイジング模型に対して、ボルツマン重率の局所積で表される2次元IRF模型を変分試行関数として用い、変分自由エネルギーを密度行列繰り込み群の変型である角転送行列繰り込み群により評価した。その結果として、よい自由エネルギーの上限が得られた。 次に、局所積による変分関数構成を非一様で秩序変数が空間変調を持つ場合に拡張するために、新たに密度行列繰り込み群による自由エネルギー評価を先の変分形式の中に取り入れ、古典競合相互作用系の代表であるANNNI模型に適用したこの系の解析は現在も続いているが、これまで標準的な相図として用いられて来た「悪魔の階段」的な構造には、平均場近似の「整合的変調秩序相の強い安定化」によって作り出される偽情報が含まれている可能性が洗い出されつつある。 密度行列繰り込み群の新たな発展の一つとして、空間次元をひとつ下げた1+1次元対称・非対称確率的拡散系に対する光円錐内部での局所因子の足し上げに、角転送行列繰り込み群がそのまま応用できることが判明したことも付け加えておく。
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