2002 Fiscal Year Annual Research Report
エジプト紅海沿岸地域のパンアフリカン変動末期の古地磁気学的研究
Project/Area Number |
01F00195
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
船木 實 国立極地研究所, 研究系, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SALEH Ahmed 国立極地研究所, 研究系, 外国人特別研究員
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Keywords | 古地磁気学 / 自然残留磁気 / 交流消磁 / Hafafite / St.Katanina |
Research Abstract |
エジプト紅海沿岸には原生代末期から古生代初期の変成岩や未変成貫入岩が分布している。これらの岩石を対象に古地磁気学的研究を行った。試料は2000年紅海西岸のHafafite地城から採集された花崗岩類、片麻岩類、それにドレライト、それに2001年と2002年にHafafit地域とシナイ半島のSt.Katrinaから採集された花崗岩である。採集された試料は40地域から合計420個である。試料は可能な限りエンジンドリルで採集し、一部の試料をブロックとして採集した。採集試料を全て極地研究所に送り、直径2.5cmの円柱状試料に切断した。また、代表的な試料については顕微鏡用の研磨試料と磁気履歴曲線や熱-磁化曲線を測定するための試料を作成した。 交流消磁の結果、多くの片麻岩類は不安定な残留磁気(NRM)を持つのに対し、花崗岩とドレライトは比較的安定なNRMを持つことが判明した。これらの岩石中の磁性鉱物は顕微鏡観察とCurie点から高温酸化された磁鉄鉱と結論され、NRMは信頼できるものと考えられた。花崗岩の熱消磁の結果から、ドレライトの貫入による部分熱残留磁化の獲得は無視できるものと考えられた。得られたNRMの方向は岩体により異なるが、両地域で共通に見られるものははアルカリ質花崗岩から得られ、伏角76度、偏角144度で95%の信頼円の半径は4.9度であった。ドレライトでは安定なNRMを持つにもかかわらず、場所によりNRMの方向が異なり、どれが代表する磁化方位か決定できず、今後の研究課題となった。 アルカリ質花崗岩が磁化を獲得したときの磁極の位置(VGP)は北緯7度、東経49度となった。今までに報告されているアフリカの極移動曲線(APWP)とこのVGPを対比させると石炭紀初期(3億5千万年)に磁化を獲得したことになる。しかし、サハラ楯状地周辺ではパンアフリカン変動末期の5億年前後に活動を停止したと考えられ、地質学的結果と一致しない。アルカリ質花崗岩の年代が決定されておらず結論はできないが、おそらくドレライトの貫入時にアルカリ質花崗岩を含む地域に回転や傾動運動があったと考えている。現在、K-Ar年代測定を開始し、古地磁気データの再検討をしている。
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