2002 Fiscal Year Annual Research Report
高温超伝導体におけるTHz電磁波放射の光制御および光学デバイスへの応用
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01F00202
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
斗内 政吉 大阪大学, 超伝導フォトニクス研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MUKUL Misra 大阪大学, 超伝導フォトニクス研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 高温超伝導体 / マイクロ波 / テラヘルツ波 / フィルター / レゾネータ / フェムト秒パルスレーザー / チューナビリティ / 強誘電体 |
Research Abstract |
今年度は、高温超伝導体を用いたチューナブルマイクロ波レゾネーターの設計および製作を精力的に行った。 高性能な無線通信用マイクロ波フィルターは、既に実用化されており、現在は、周波数可変型レゾネーターの開発・研究が精力的に行われている。よって本研究においては高温超伝導体を用いたコプレーナー型マイクロ波レゾネーターの設計・作製および特性の計測を行った。この素子はフリップチップ構造をもち、伝送線とキャパシタのギャップ間隔や、キャパシタの誘電率などで、素子特性が大きく変化する。これらパラメータに対する、素子特性の変化を詳細に計算し、構造の最適化を行った。そして実際に、SrTiO_3単結晶をキャパシタに、コプレーナー伝送線にYBCO薄膜を用いたチューナブルレゾネーターを試作し、その特性をベクトルネットワークアナライザを用いて測定評価した。その結果5GHz付近で約2.5MHzの共振周波数変化を示すレゾネーターの作製に成功した。今後、キャパシター材料を(Ba,Sr)TiO_3などに変更し、薄膜化することにより、さらに大きなチューナビリティを持つ素子の作製を目指す予定である。 また、後方散乱型テラヘルツ電磁波イメージング装置の開発を行った。 これまで、高温超伝導体にフェムト秒パルスレーザーを照射すると、テラヘルツ領域の電磁波が放射されることが、知られている。この電磁波を検出することにより、超伝導電流の流れを可視化することが可能である。しかしこれまでは、超伝導薄膜およびその基板を透過してきた電磁波を検出する透過型のシステムであったため、膜厚の大きいものや電磁波を透過しない基板を用いた試料は測定することが出来なかった。これに対し、今回開発したシステムは、レーザーを薄膜表面へ照射し、レーザーが入射してきた方向へ放射される電磁波を検出する、後方散乱型システムであり、このシステムを用いて、実際に超伝導電流のイメージングが可能であることを示した。このことにより、バルク試料や基板の制限なく、テラヘルツイメージングが可能となった。 これらの結果は国際学会で発表され、すでに数本の学術論文として出版済みあるいは近日中に出版予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Misra, N.D.Kataria, H.Murakami, M.Tonouchi: "Analysis of flip-chip bonded tunable high-temperature superconducting coplanar waveguide resonator using the conformal mapping technique"SUPERCONDUCTOR SCIENCE AND TECHNOLOGY. 16(未定). (2003)
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[Publications] T.Kiwa, Y.Kamata, M.Mukul, H.Murakami, M.Tonouchi: "Backscatterd Terahertz Radiation Imaging System to Visualize Supercurrent Distribution"IEEE Transaction on Applied Superconductivity. (未定)(Accepted). (2003)