2002 Fiscal Year Annual Research Report
流域及び地域レベルにおける洪水予測・水資源問題に与える降水データのスケール効果に関する研究
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01F00220
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
山田 正 中央大学, 理工学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ASSELA PATHIRANA 中央大学, 理工学部, 外国人特別研究員
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Keywords | メンスケール気象モデル / 雷雨 / マルチフラクタル / ドップラーレーダ / 重力波 / MM5 / lee waves |
Research Abstract |
本学の所持するドップラーレーダーで観測した関東一円の降雨強度30(mm)以上の降雨強度を持つ雷雨の多くは足尾山地や秩父山地といった山岳地形で発生した地形性降雨である.これら地形性降雨は山地斜面に沿う強制上昇風により,尾根の風上側で発生することは広く知られている.関東では,東京湾や鹿島灘から遡上する海風が地形性雷雨の発生に起因することを著者らは大気観測を行い確認している.本研究では強制的に密度境界層の高度まで押し上げられた空気塊が密度差により生じるブラントヴァイサラ振動で発生する重力波が地形性降雨に与える影響に着目し,重力波が地形性降雨の発生に与える影響の解明を行った. 3次元の計算場においてガウス分布の風向きに垂直な山脈状の地形と2層の密度成層の大気を考慮した数値シミュレーションを行い,山脈状地形の尾根より風下側で発生する重力波の解析を行った.本研究の数値シミュレーションにはnon-hydrostaticメンスケール気象モデルであるMM5を用いた. 著者らは,過去行った研究でフルード数の小さな流速では低層の空気塊は山脈地形によるブロッキング減少により高度上昇できないことを数値解析で確認した.更にフルード数の大きな値を持つ流速を与えた場合,成層効果より慣性力が卓越し,ポテンシャル流れに近づくことも確認した. 本研究では等流を与えた数値シミュレーションで重力波が発生するとき尾根より風下側において渦の発生を確認し,重力波を発生するフルード数の条件を解明した.さらに実大気において夜半海陸風の風速が減少するように,数値シミュレーションにおいても水平方向に与えた風速を徐々に減少させた.結果,水平風速が減少するに従い重力波が風上方向に遡上し,尾根より風上側まで発達することが分かった.この重力波の遡上は,ドップラーレーダーで観測した実大気での雷雨の発生メカニズムに関係するものと考えられる.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] A.pathirana: "Multifractal Modeling and Simulation of Rain Fiflds Exhibiting Spatial Heterogeneity"Hydrology and Earth System Sciences. Vol.6, No.4. 695-708 (2002)
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[Publications] A.Pathrana: "Scaling rainfall series with a mulifractal model"Annual Journal of Hydraulic Engineeering. Vol.45. 295-300 (2001)