2002 Fiscal Year Annual Research Report
軽元素修飾した量子かごの特性評価と高容量二次電池用環境エネルギー材料の設計プラットフォームの構築
Project/Area Number |
01F00227
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森永 正彦 名古屋大学, 工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
周 震 名古屋大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ZnO / ドーパント / 水素 / 電気伝導 / 量子かご |
Research Abstract |
新しい二次電池を開発するためには、水素のような軽元素が自由に出入りする「量子かご」の性質を理解することが必要である。本研究では、この目的のため、ZnOを対象物質に選び、水素およびドーパントによる電気伝導度の変化を実験により調べた。ZnOはn型の伝導を示すが、この原因として、水素が関与している可能性がある。 本研究では、純ZnO、およびドーパントとしてLi、Al、Mn、Co、Cu、Inをそれぞれ300-1100ppm添加した粉末試料を共沈法により作製した。焼結後、8×8×0.3mmの薄い板状試料を作り、それに水素イオンを注入した。また水素イオン注入前後の水素量を反跳原子検出(ERD)法によって測定した。直流電気抵抗と交流インピーダンスも測定した。本年度の成果は、以下の通りである。 水素注入前にインピーダンスを測定した結果、ドーパントの効果は粒界・粒内で異なることがわかった。例えば、Li、Mn、Cuを添加した試料では、粒界・粒内とも電気伝導度が低下した。またCoを添加した試料では純ZnOと比べ粒内の電気伝導度はあまり変化しなかった。 水素イオン注入によってZnO試料の電気伝導度が向上し、純ZnO試料において電気伝導度は5×10^<-2>から350Ω^<-1>cm^<-1>となった。このように、水素はドナー元素として有効に働いている。しかし、水素注入層の伝導度は、ドーパントによって異なり、約3〜9桁も高くなった。このように、水素とドーパントの相互作用を考慮することにより、ZnOの粒界・粒内の電気伝導度を制御することができることがわかった。 以上のように、ZnOの中の「量子かご」の特異性を示すことができた。今後、DV-Xα分子軌道法および擬ポテンシャル法によって、水素とドーパント間の相互作用について理論的に明らかにする予定である。
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