2003 Fiscal Year Annual Research Report
中国東部、新生代玄武岩中の捕獲岩中流体包有物および希ガスの特徴に関する研究
Project/Area Number |
01F00240
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
兼岡 一郎 東京大学, 地震研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LAI YONG 東京大学, 地震研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 希ガス / 流体包有物 / 超塩基性捕獲岩 / 大陸下マントル / 中国東部 / ^3He / ^4He比 / ^<40>Ar / ^<36>Ar比 / 中央海嶺玄武岩 |
Research Abstract |
本研究は、中国東部地域(黒龍江から海南島にわたる10以上の地域)に産する新生代のアルカリ玄武岩中に捕獲されたマントル起源の超塩基性捕獲岩を試料として、それを構成するカンラン石、斜方輝石、単斜輝石などを分離し、それらに含まれる流体包有物中の希ガス同位体を測定して、その起源などについての検討を行った。流体包有物の含有量、組成などは地域ごとに大きく異なるが、炭酸ガスを含んだ初生流体と二次的な溶融体とに大別できる。それらは希ガス同位体の量や組成にも、影響を与えている可能性がある。輝石温度計を用いると、これらの捕獲岩は810-1060Cで生成されたと推定できる。希ガス同位体測定のための試料からの脱ガス法としては段階加熱法と破砕法を併用したが、本研究で用いた試料では地表にもたらされた後に宇宙線照射により生成した同位体が観察された。^3He/^4He比としては0.31-9.67Ra(1Raは大気中の値)が得られたが、1000C以上の生成温度をもつ試料の^3He/^4He比は相対的に一様で、中央海嶺玄武岩と同様の8Ra前後の値を示すものが多かった。しかし生成温度が1000C以下の試料では、その^3He/^4He比のばらつきが大きく、値としても8Raより低い値を示す傾向がある。また^<40>Ar/^<36>Ar比としては1000以下の値を示すものが多かったが、最大値としては7600の値をもつ試料が得られ、この地域の大陸下マントルの値については場所による違いがある可能性が示唆された。またNe同位体比はほとんど大気の値とは区別できなかったが、核反応生成物が加わった高い^<21>Ne/^<22>Ne比を示す試料の存在も確認できた。これらの結果は、本研究で対象とした中国東部地域の大陸下マントルは、希ガス同位体としては中央海嶺玄武岩のマグマ源と類似の構造をもつことが示唆している。
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Research Products
(1 results)