2002 Fiscal Year Annual Research Report
中国東部、新生代玄武岩中の捕獲岩中流体包有物および希ガスの特徴に関する研究
Project/Area Number |
01F00240
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
兼岡 一郎 東京大学, 地震研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LAY Y 東京大学, 地震研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 希ガス / 流体包有物 / 捕獲岩 / アルカリ玄武岩 / 新生代 / 中国東部 |
Research Abstract |
本研究では、2001年10月以来、中国東部地域に産する新生代のアルカリ玄武岩などに含まれる超塩基性捕獲岩などを試料として、その中に含まれる流体包有物や希ガス同位体などの観察・測定を通じて、この地域の大陸マントルにおける流体の移動やマントルそのものの進化を明らかにすることを目指す。試料は北から南に向かって、黒龍江省、吉林省、遼寧省、河北省、山東省、江蘇省、広東省、海南省などから産出したサンプルである。これらについては先ず薄片を製作し、岩石記載を行うと共にその中の流体包有物の産状などを行った。その結果、流体包有物の入り方に関してはかなり地域差のあることが明らかになった。EPMA分析より、各地域の捕獲岩の鉱物組成成分、微量元素の特徴およびそれぞれの生成温度が850℃〜1,150℃範囲と推定された。一方、それらの試料についてカンラン石、斜方輝石などを分離し、その中の希ガス同位体比について一部は段階加熱法、大部分は破砕法による脱ガスを行って測定を行った。これまでに行った希ガス同位体比測定の結果は、地域的に大きな差があること、また地表のおける宇宙線照射によって生じた希ガス同位体の影響が少なくないことを示唆してきている。そのため、宇宙線照射によって生成された成分は鉱物中のマトリクスに残して、その影響の少ない流体包有物などだけから選択的に脱ガスさせるような破砕法を用いることにより、3He/4He比やNe同位体比などの測定を行ってきた。これまでの結果では、その3He/4He比はいずれも中央海嶺玄武岩などで見られるような値にやや近いかそれ以下の値を示してきおり、大気の値に近い試料も見いたされてきている。また40Ar/36Ar比などは、多くは500以下であるが、一部には1000を越える値示している。Ne同位体比に関しては、大部分の試料中で脱ガス量が少ないために測定誤差が相対的に大きく、大気の値との有意義な差をみいだすことはできなかった。しかし、一部の試料においては、大気の値より明らかに高い20Ne/22Ne比を示すものが見いだされている。またXe、Krに関しては、測定誤差の範囲内では大気の値と有意義の差はみいだされていない。これらの傾向は、これまでに報告されてきている大陸下マントルの試料などと同様の傾向を示す。しかし、3He/4Heなどに関しては大陸としての地質構造などとも関連があるように見える。
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