2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01F00245
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
中村 宏樹 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KONDORSKIY Alexey 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | レーザー制御 / フロケ状態 / 非断熱遷移 / Zhu-Nakamura理論 / 半古典力学 / Herman-Kluk伝播法 |
Research Abstract |
H_2^+及びHD^+分子の強いレーザーによる解離過程を連続状態の離散化近似を用いないで緊密結合連立微分方程式を解いて解析することに成功し、解離スペクトルについて実験との良い一致を得た。初期状態の相対位相に不確定性があるが、これはスペクトルを若干なめらかにする効果がある事が判った。連続状態を経由するラマン型の遷移が重要な役割を果しているなどメカニズムを解明することが出来た。ラマン型の遷移で低振動状態がより多く生成され、最終スペクトルを変形することが見出された。HD^+の場合には、双極子モーメントがある為に、スペクトルに新しい構造が生じるとともに角度分布も変ってくる。角度分布についての計算を現在進めている。 更に、レーザーによる分子過程の制御の理論を多次元系に対して実行可能な形で定式化する為に、初期状態表示を用いた半古典論(Herman-Kluk伝播法)にZhu-Nakamura理論を組込んだ理論手法を構築している。レーザーの衣を着たFloquetの断熱状態表示で、レーザーによって誘起される非断熱遷移をZhu-Nakamura理論で取扱い分子過程を制御しようとするものである。 凍結波束の伝播を行っているので、非断熱遷移領域で固有状態展開を行い、そこにZhu-Nakamura理論を組込む。H_2^+にレーザー場を掛けて交差を誘起した1次元系及びHOD分子の2次元モデルでやはりレーザー場を掛けてポテンシャルエネルギー曲面の交差を誘起した系での数値計算を実行し、理論の有効性を確かめている。 一般多次元系に応用出来る様に理論を定式化していく計画である。
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