2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01F00245
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
中村 宏樹 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KONDORSKIY Alexey 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | レーザー制御 / フロケ状態 / 非断熱遷移 / Zhu-Nakamura理論 / 半古典力学 / Herman-Kluk伝播法 |
Research Abstract |
以下に述べる三つの課題に関する研究を行い、成果を纏めることが出来た。二つ目と三つ目は一般論であるので、今後具体的な系への応用を含め更なる発展が大いに期待される。 (1)強い光子場中におけるH_2^+及びHD^+の光解離 解離連続状態を、離散化近似を行わずに直接扱う方法を考え出し,数値的に緊密結合方程式を解くことに成功した。計算結果については実験との比較をも行い良い一致を得ている。光解離のスペクトルと角度分解スペクトルの計算も行った。H_2^+とHD^+での興味ある違いを見出し,ラマン的な過程が重要な役割をしていることも見出した。本研究は、既にPhys.Rev.Aに発表されている。 (2)Zhu-Nakamura理論を組み込んだ非断熱化学動力学過程の半古典論 ポテンシャルエネルギー曲面の交差による非断熱遷移を伴う化学動力学過程は,実際の化学及び生物過程において重要な役割をしている。量子力学的な厳密計算を行い得るのが比較的小さな系に限られること、及び機構の理解と解明が重要であることから、半古典力学的な理論の開発が望まれている所である。本研究では,断熱ポテンシャルエネルギー曲面上の伝播に有効なHerman-Kluk型の凍結波束伝播法に我々が開発した非断熱遷移の基本解析理論であるZhu-Nakamura理論を組み込み、行く行くは大次元系の非断熱動力学過程をも取り扱うことの出来る理論を構築した。1及び2次元系でのテスト計算を行い、手法の有効性を確認した。論文は執筆を終え投稿中である。 (3)分子過程のレーザー制御の半古典理論 レーザーによる分子過程の制御に良く用いられている手法に最適制御法があるが、数値計算の大変さから1,2次元系への応用に限られているのが現状である。古典軌道を有効に用いて半古典力学的にこの手法を書き直し、しかも,我々独自の考え方である「周期チャープによって着衣状態間の非断熱遷移を制御する」という考えを盛り込む研究を行っている。基本的な定式化を終えた所である。 以上の研究については,研究所におけるセミナーのみならず分子構造討論会及び物理学会、更には幾つかの国際会議で発表している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] A.Kondorskiy, H.Nakamura: "Semiclassical Theory of Electronically Nonadiabatic Chemical Dynamics : Incorporation of the Zhu-Nakamura Theory into the Frozen Gaussian Propagation Method"J.Chem.Phys.. (In press).
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[Publications] A.Kondorskiy, H.Nakamura: "Photodissociation of H_2^+ and HD^+ in an Intense Laser Field,"Phys.Rev.. A66. 053412-1-053412-8 (2002)