2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01F00247
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奈良坂 紘一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BALDOVINI Nicolas 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | オキシム / 求電子的アミノ化 / 芳香族 |
Research Abstract |
先に,研究代表者のグループでは,フェネチルケトンオキシムに対して過レニウム酸エステルと,トリフルオロメタンスルホン酸を作用させると,キノリン誘導体が得られることを見いだしており,この反応が従来困難とされていたオキシムsp^2窒素原子上でのSN2型の置換反応により進行していることを明らかにしている。この反応は分子内反応であるが,オキシムのヒドロキシ基を適当な脱離基に変えて芳香族化合物を作用させれば原理的に分子間反応も可能であるはずである。このような背景を下に,オキシムを求電子的なアミノ化剤として用いる芳香族の直接アミノ化によるアニリン合成の検討を行うこととした。 アミノ化剤として用いるオキシムとしては,安価で汎用性の高いものが求められる。また酸性条件ではオキシムはBeckmann転位が進行することが知られており,この反応を抑える必要がある。尿素誘導体のオキシムはBeckmann転位が進行するという報告はこれまでない。そこで,これら誘導体を求電子的アミノ化剤として用い検討をおこなったところ,2-イミダゾリジノンオキシムが優れていることを見いだした。さらに,グリコール酸誘導体を脱離基とし,ルイス酸としてSnCl_4をもちいると,短時間,高収率で対応するイミンを与えることがわかった。こうして得られたイミンは水酸化セシウムによる加水分解で、アニリンに誘導することができた。現在,種々の芳香族化合物との反応を試みている段階である。 芳香族化合物の直接アミノ化にはクロロアミン類を用いる求電子的アミノ化法もあるが一般的ではなく,通常はニトロ化とその還元によってアニリンを合成している。本手法は従来困難とされていた,芳香族化合物からのアニリン類の直接的な合成法を提供するものである。
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