2003 Fiscal Year Annual Research Report
「ケミカル・ジェネティックス」:環状分子認識化学を活用する生体タンパクの機能活性化
Project/Area Number |
01F00250
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
築部 浩 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DHARAM PAUL 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | シトクロムc / クラウンエーテル / 不斉酸化 / スロホキシド / タンパク活性化 / 超分子認識 |
Research Abstract |
天然タンパク機能の解明と新機能の発現は、現代科学の重要課題であり、生命科学のみならず、分子科学、物質科学、材料科学などへの大きな波及効果が期待される。本研究では、生物学的なミューテーション法に対する相補的な化学手法として、短時間に多彩なタンパクに対応可能な「Chemical Genetics法』の開発を図った。特に、環状認識分子の特性を活用して、タンパク表面に存在するイオン性基と直接相互作用できる環状認識化合物を検索して、有機溶媒中への水溶性タンパクの可溶化を通じて非天然型活性構造を誘起し、外部因子の最適化による生体タンパクへの新機能の賦与に成功を収めた。 (1)クラウンエーテルを活用するシトクロムcの活性化 生体内電子伝達を仲介するシトクロムの活性化を、クラウンエーテルとの超分子錯体形成によってメタノール中に可溶化し、活性機能化できることを実証した。円二色性・吸収・ラマン分光法などを用いた検討の結果、シトクロムcに非天然型ヘム活性構造を誘起できることを明らかとした。 (2)ヘムタンパク含有超分子錯体への触媒機能の賦与 シトクロムc超分子錯体と過酸化水素との反応挙動を精査し、-40℃などの極低温では、分解反応を起こすことなくヘム活性化構造を維持できることを見い出すとともに、ラセミ体スルホキシドの不斉酸化反応を極低温下に高効率に進行させることを示した。 (3)さまざまなヘムタンパク超分子錯体の構築 ミュータントを含む各種シトクロムcと光学活性クラウンエーテルとの多彩な組み合わせを検討し、有機溶媒中への可溶化、不斉酸化触媒機能の発現のための最適化条件を検討した。 上記の研究を通じて、超分子相互作用を活用した生体タンパクの活性化と、非天然型タンパク機能の発現に向けた新しい化学的な手法を確立した。今後、さら成る環状認識化合物と生体タンパクのマッチングを系統的に検討することが望まれる。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] D Paul, A.Suzumura, H.Sugimoto, J.Teraoka, S.Shinoda, H.Tsukube: "Chemical Activation of Cytochrome c Proteins via Crown Ether Complexation : Cold-Active Synzymes for Enantiomer-Selective Sulfoxide Oxidation in Methanol"J.Am.Chem.Soc.. 125. 11478-11479 (2003)