2002 Fiscal Year Annual Research Report
インオーガニッククロモトロピズム-クロモトロピック金属錯体の合成・構造・物性
Project/Area Number |
01F00251
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
福田 豊 お茶の水女子大学, 理学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
USAMA I El?Ayaan お茶の水女子大学, 理学部, 外国人特別研究員
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Keywords | クロモトロピズム / サーモクロミズム / ソルバトクロミズム / 混合配位子錯体 / 溶媒効果 |
Research Abstract |
本申請者らは、クロモトロピズムの研究を進めており、Usama El-Ayaan氏とクロモトロピック錯体の合成研究をすすめる予定で研究を進めた。クロモトロピズムは、その外部環境条件変化に応じて、(1)ソレバトクロミズム(溶媒)、(2)サーモクロミズム(温度)、(3)ピエゾクロミズム(圧力)、(4)エレクトロクロミズム(電子)、フォトクロミズム(光)の5種に分けられる。本研究では、それらを総合的に研究する事を目的とした。本外国人研究員は、10月に来日したわけであるが、まず、我々の研究室で行われたクロモトロピズムの研究総括を行い、それを総説とする事を計画した。幸い、オーストリア化学会で出しているMonatshefte fur Chemieで総説企画があり、それに招待論文として掲載する事が出来た。Invited Review, Thermochromism and Solvatochromism in Solution (El-Ayaan, F.Murata, and Y.Fukuda).内容は、鉄(II)スピンクロスオーバ錯体のサーモクロミズム、ニッケル(II)テトラアミン錯体のサーモクロミズム、銅(II)、およびニッケル(II)混合配位子錯体(ジアミンとジケトナーとを含む)についてのものである。これらは、溶媒の配位能の強さやアニオンの溶媒和の強さに応じて、色中心である錯体の構造が様々に変化する事による事を明らかにした。さらに、実験では触媒機能を持つ嵩高いジイミシ混合配位子錯体の合成を行い、その構造や反応性を調べる事や、新しいタイプの環状ジアミンとベータ・ジケトナートを含む混合配位子ニッケル錯体の合成を行い、そのソルバトクロミズムやサーモクロミズムを検討した。
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