2002 Fiscal Year Annual Research Report
可視光応答新規光電子機能酸化物の共鳴ラマン散乱法による探索と化学合成
Project/Area Number |
01F00266
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
垣花 眞人 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PETRYKIN Valery 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 可視光 / ラマン分光 / 光触媒 / 光誘起構造変化 / 光電子機能酸化物 / 層状ペロブスカイト / イオン交換 |
Research Abstract |
太陽光の大半を占める可視光の有効利用の観点ならびに安全性とデバイス化に際して小型化が可能になるという観点から、可視光で作動する光触媒や可視光で光誘起構造変化を示す可視光応答光電子機能酸化物をナノ組織レベルで組成を制御して製造する技術を開発することは重要な課題である。そこで本研究課題では、高純度な可視光応答光電子機能酸化物を新しい溶液化学法により合成し高活性化を実現し、また物性研究に相応しい試料作りをすることを目的とする。 平成14年度には以下のような実績を得た。 (1)錯体重合法によるBiTaO_4の合成と水分解光触媒機能 クエン酸とエチレングリコールとの間のポリエステル化反応を基礎とする錯体重合法を用いてタンタル酸ビスマス(BiTaO_4)の合成を試みた。アモルファス金属錯体法や共沈法など通常の合成法では合成が困難であった低温相であるアルファーBiTaO_4を単相で合成することに成功した。犠牲還元剤としてメタノールを用いることによって、紫外光照射下における水素発生に対する水分解光触媒活性が飛躍的に向上すること、また硝酸銀を犠牲試薬に用いることによって、可視光照射下において水からの酸素の発生を確認することに成功した。 (2)錯体重合法によるRuSr_2Eu_<1.5>Ce_<0.5>Cu_2O_<10>の合成 錯体重合法を用いて化学量論組成のRuSr_2Eu_<1.5>Ce_<0.5>Cu_2O_<10>の単相合成に成功した。化学量論組成の高純度試料は低温での磁気転移を示すものの、従来40K付近で超伝導になるとされる超伝導転移を示さなかった。これに対して、意図的にRuの欠損をした試料は超伝導転移を示し、TEM観察によりルテニウム系磁気超伝導体において信じられていた超伝導相はサテライト相であることが初めて明らかにされた。
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