2002 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属イオンをドープしたZnSナノ粒子のフォトルミネッセンス特性
Project/Area Number |
01F00267
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
磯部 徹彦 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SUN Lingdong 慶應義塾大学, 理工学部, 外国人特別研究員
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Keywords | ナノクリスタル / フォトルミネッセンス / 蛍光体 / ナノ粒子 / 量子ドット / ZnS : Mn^<2+> / ZnS : Cu^+ |
Research Abstract |
ポリアクリル酸(PAA)が共存する反応場を利用してナノクリスタルが均一に分散した透明なコロイド溶液を合成し、UV照射下でのPL増強効果の波長依存性を検討した。240nmから340nmの波長範囲で連続的に勘起しながら、PL強度の時間変化を調べた。その結果、励起スペクトルのピーク波長(321nm)での照射によるPL増強効果がもっとも大きいことがわかった。また、UV照射後の励起スペクトルはブロードになり、短波長側の成分割合が増加した。UV照射による光吸収スペクトルの変化が少ないことから、粒径分布の変化はほとんど起こらなかった。UV照射による光化学反応によってZnSO_4,Zn(OH)_2,SなどがZnS : Mn^<2+>ナノクリスタル表面に生成され、量子閉じ込め効果が増強されることが考えられる。しかし、PAAのカルボキシル基で表面修飾されたナノクリスタルのコロイド溶液中では、光化学反応によって形成される被覆層はゆっくりと形成されるので、前述の効果は少ないものと推察される。ナノクリスタルではエキシトンの離散的なエネルギー準位が形成される。また、ナノクリスタルでは表面に起因する欠陥準位を有する。上記の結果に基づき、UV照射により励起された電子がこの欠陥準位にトラップされ、エキシトンの高いエネルギー準位へ励起できるようになり、励起スペクトルの短波長成分の割合が増加されるという新しいモデルを考案した。ZnS : Cu^+ナノクリスタルの合成では、Cu(I)の錯体を利用してCu(I)をZnS中へドープする合成法を開発した。同法により合成されたZnS:Cu^+ナノクリスタルは、波長527nmにPLピークを有し、緑色に発光する。X線光電子分光スペクトルからCu(I)が存在することも確認した。さらに、上記のUV照射によるPL増強効果がZnS : Cu^+ナノクリスタルにも観測された。
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