2002 Fiscal Year Annual Research Report
シグマ電子の挙動と窒素、リンおよびケイ素を含む新分子材料の設計
Project/Area Number |
01F00272
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
稲垣 都士 岐阜大学, 工学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DING Yi?hong 岐阜大学, 工学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 高エネルギー密度物質 / グリーンケミストリー / オキサジアジリジン / ジイミドN-オキシド / ヒドロキシジイミド / ニトロソアミド / 1,2-ジヒドロキシヒドラジン / グリーンチャネル |
Research Abstract |
最近、高エネルギー密度物質が、ロケット燃料、エネルギーの貯蔵、運搬などの観点から世界的な注目を集めている。一方、環境問題は人類の重要課題のひとつである。化学においては、環境に適合した化学、いわゆるグリーンケミストリーの発展が要求されている。 前年度、グリーン高エネルギー密度物質という新しい概念と条件を提案した:(1)高いエネルギー密度を持ち、(2)速度論的にも安定で、(3)分解してエネルギーを放出する際、環境に無害な分子しか発生しない。そして、窒素と水、それぞれ1分子のみに分解するグリーン高エネルギー密度物質、オキサジアジリジン(エネルギー密度3009、2909cal/g)を理論設計するのに成功した。 本年度の成果は以下の通りである。 (あ)オキサジアジリジン異性体、trans-およびcis-ジイミドN-オキシド(HN=N(O)H),syn-およびanti-ヒドロキシジイミド(N=NHOH)、およびニトロソアミド(NH_2NO)のエネルギー密度は、それぞれ、1890cal/g,2005cal/g,1699cal/g,1712cal/gと、代表的なNH_2NH_2+O_2のエネルギー密度2203cal/gに匹敵するものであり、最近米国の研究者によって設計された2,4,6-トリニトロ-1,3,5-トリアジン(グリーンではない)のエネルギー密度1410cal/gをはるかにしのぐものであった。また、分解反応のもっとも低い活性化エネルギーが、どの異性体も25Kcal/g以上で、速度論的にも十分安定である。そして、窒素と水に分解する経路(グリーンチャネル)がもっともおこりやすい分解経路あることも、計算で確認された。従って、これらの分子も有望なグリーン高エネルギー密度物質になりうる。 (い)オキサジアジリジン異性体は1分子の窒素と水を放出するが、もう1分子多くの窒素か水分子を放出するN_2H_4O_2とN_4H_2Oのグリーン高エネルギー密度物質の可能性を評価した。N_2H_4O_2では、1、2-ジヒドロキシヒドラジンHONHNHOH配座異性体が十分なエネルギー密度(およそ1900cal/g)をもち、窒素と水に分解するグリーンチャネルがもっとも恵まれているが、速度論的安定性が少々低い(活性化エネルギー19Kcal/g)ことが明らかになった。低温保存さえすれば、有望なグリーン高エネルギー密度物質になりうる。N_4H_2Oに関しては、42の異性体を計算したが、窒素と水以外に分解する、いわゆる非グリーンチャネルが優先して、グリーン高エネルギー密度物質になりうる可能性はないことが明らかになった。
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Research Products
(1 results)