2002 Fiscal Year Annual Research Report
シクロデキストリン・ペプチド系における蛍光共鳴エネルギー移動を用いた分子センシング
Project/Area Number |
01F00273
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
上野 昭彦 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HOSSAIN M. A. 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | シクロデキストリン / ペプチド / 分子認識 / 蛍光 / 蛍光共鳴エネルギー移動 / 円二色性スペクトル |
Research Abstract |
シクロデキストリン・ペプチド合体系を用いた新規な分子認識センサーの構築を行った。すなわち、ゲスト分子認識部位として環状オリゴ糖であるシクロデキストリン(CD)を、共鳴エネルギー移動の供与体としてピレン、受容体としてクマリンをα-ヘリックスペプチドの上に適切に配置した系を合成し、蛍光共鳴エネルギー移動を用いた新規な分子センシング系を構築した。 分子認識センサーの認識応答の手法として蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を利用したシステムが、近年注目されている。FRETを利用することにより、プローブとして蛍光色素を1つだけ用いたシステムに比べて感度等が優れたシステムを構築することが可能である。しかし、供与体である色素と受容体である色素が水溶液中では会合してしまい、蛍光を発光しなくなりやすいので、FRETを利用した分子センシングシステムを有効に構築するためには、2つの色素の配置等を工夫する必要がある。 そこで、本研究ではCDを利用することにより色素間の会合を抑えることを試みたところ、消光することなく蛍光共鳴エネルギー移動による効果的な発光を観測することに成功した。さらに、ゲスト分子を添加することによりその発光強度が減少し、分子認識センサーとして有効であることも見出した。 具体的には、α-ヘリックスペプチド上にβ-CD、クマリン、ピレンの順に配置したCD・ペプチド合体系を合成した。CD・ペプチド合体系において、ピレンを励起したところ、クマリンの発光領域に蛍光発光が観測され、ピレンからクマリンへの蛍光共鳴エネルギー移動が観測された。ここに、ゲスト分子としてヒドロキシコール酸を添加したところ、蛍光発光強度の減少が観測された。これは、β-CDに包接されていたクマリンがゲスト分子により追い出され、クマリンとピレンが分子内で会合し、消光した為だと思われる。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] M.A.Hossain, K.Takahashi, H.Mihara, A.Ueno: "Molecule-Responsive Fluorescent Sensors of α-Helix Peptides Bearing α-Cyclodextrin. Pyrene and Nitrobenzene Units in Their Side Chains"J.Inclusion Phenom.Macrocycl.Chem.. 43. 271-277 (2002)