2002 Fiscal Year Annual Research Report
薬用植物におけるレクチン様生理活性タンパク質に関する研究
Project/Area Number |
01F00280
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村本 光二 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GAIDAMASHVILI Mariam 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | レクチン / マルトース / マンノース / 植物レクチン / 糖鎖 / ナガイモ / ハトムギ / 乳酸菌 |
Research Abstract |
本研究では,楽用植物等に含まれる糖鎖認識結合タンパク質(レクチン)を探察し,それらの生化学的性状並びに生理活性を検討することを目的にした。自然薯(ナガイモ)から,疎水,イオン交換,ゲルろ過クロマトグラフィーによりタンパク質成分すべてを分離精製し,分子量66k,31k,30k,20kの赤血球凝集素を単離した。すなわち,ナガイモの貯蔵タンパク質はすべて生理活性を持つことを明らかにした。61kと31kの1次構造には約70%の相同性があり,マルトースに結合特異性を示した。マルトペントースに最も強い親和性を持ち,鎖長が増減すると親和性が低下した。グルコースには親和性がみられなかった。またこれらのタンパク質には,α-カーボニックアンヒドラーゼとの相同性がみられた。これらは20kはマンノース結合特異性レクチンであった。また,30kは相同性検索の結果,キチナーゼであると同定した。これらのタンパク質を食餌に添加して鱗翅目昆虫の幼虫に投与したところ,成長が抑制された。 ハトムギのタンパク質成分を,疎水,ハイドロキシアパタイト,ゲルろ過クロマトグラフィーで分画して,レクチンとそれ以外のタンパク質を分けた。レクチンは分子量が17kのサブユニットから構成されていた。ウサギ赤血球凝集阻害作用を使ったレクチンの特異性を調べたところ,いずれの単糖によっても阻害されず,ヘパリンにのみ阻害を受けた。これらのタンパク質画分を腸内細菌叢を形成する大腸菌と乳酸菌の培地に添加し,比濁法及びpH低下測定によって増殖を追跡した。いずれの画分にも大腸菌の増殖促進作用はみられなかったが,レクチンには乳酸菌の増殖に対する強い促進効果があった。この作用は,レクチンを加熱失活させると失われた。従って,ハトムギレクチンには腸内の微生物環境を整える効果が期待できる。
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