2002 Fiscal Year Annual Research Report
触媒的環化アルケニル化反応を利用する生理活性天然物の効率合成
Project/Area Number |
01F00283
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井原 正隆 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ANDIVELU Ilangovan 東北大学, 大学院・薬学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 触媒的環化アルケニル化反応 / 環状シリルエノラート / ビシクロ[3.2.1]オクタン / ビシクロ[3.2.1]オクタン / sp^2炭素同士のカップリング反応 / Heck反応 / ワンポット合成 / 末端オレフィン |
Research Abstract |
当研究室で開発された触媒的環化アルケニル化反応は,緩和な反応条件下で末端オレフィンを有するアルキル側鎖をもつ環状シリルエノラートからビシクロ[3.2.1]オクタンを与えることから,抗腫瘍活性天然物として知られるアフィディコリンをはじめ,生理活性分子の合成に利用されてきた.本研究では,この触媒的環化アルケニル化反応の汎用性の拡大を目指し,ビシクロ[3.3.0]オクタン骨格ならびに芳香環が融合したビシクロ[3.3.0]オクタン骨格の簡易合成法の開発を目的とする.なお,ビシクロ[3.3.0]オクタン骨格ならびに芳香環が融合したビシクロ[3.3.0]オクタン骨格は,それぞれ多様な生理活性を示す天然有機化合物の部分構造を成す.先ず,ビシクロ[3.3.0]オクタン骨格のワンポット合成を検討した.その結果,β位に置換基を持つシクロ-2-ペンテン-1-オンにGrignard試薬を1,4-付加させてin situにシリル化することにより生成するシリルエノラートを,触媒量の酢酸パラジウムで処理することによりビシクロ[3.3.0]オクタン骨格が中程度の収率で得られることが明らかとなった.さらに本触媒的環化アルケニル化反応の汎用性の向上を目的に,sp^2炭素同士のカップリング反応に適用した.その結果,シリルエノラートのsp^2炭素と芳香環のsp^2炭素が,緩和な反応条件下でカップリングすることが明らかとなった.これまでsp^2炭素同士のカップリング反応として,Heck反応などが知られているが,Heck反応の使用は,ハロゲン化ビニルや芳香族ハロゲン化物と不飽和化合物とのカップリングに限られていた.我々が今回開発したシリルエノラートのsp^2炭素と芳香環のsp^2炭素とのカップリング反応は,これまでに前例のない新しいタイプの反応であり,さらに中性条件下で容易に反応が進行することから,本反応のさらなる展開が期待される.
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Research Products
(1 results)