2002 Fiscal Year Annual Research Report
可溶性グアニレートシクラーゼのNOに誘起される構造変化:可視及び紫外共鳴ラマン分光法による研究
Project/Area Number |
01F00289
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
北川 禎三 岡崎国立共同研究機構, 統合バイオサイエンスセンター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PAL Biswajit 岡崎国立共同研究機構, 統合バイオサイエンスセンター, 外国人特別研究員
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Keywords | 共鳴ラマンスペクトル / センサー蛋白質 / 可溶性グアニレートシクラーゼ / 一酸化窒素 / ヘム蛋白 |
Research Abstract |
Dr.B.PALは、平成13年11月に訪日後、まず共鳴ラマンスペクトルの測定法を学び、色々なレーザーを1人で発振させ、それを光源としてラマンスペクトルを測定できるようになった。次に可溶性グアニレートシクラーゼをウシ肺から単離、精製した。4kgの肺から3mgの純粋な酵素を得る事に成功した。この酵素を用いて活性と共鳴ラマンスペクトルを測定した。NO付加体は活性が200倍以上高くなるのにCO付加体は4倍程度しか上昇しなかった。しかしYC-1というエフェクターを加えると、CO付加体の活性が200倍程度上昇した。共鳴ラマン分光法でFe-CO伸縮振動を測定してみると、エフェクター無しではFe-CO伸縮振動は473cm^<-1>に1本バンドが見えたが、YC-1を入れると487cm^<-1>に肩が出てきた。そこにGTPを加えると487cm^<-1>にバンドが完全にシフトすると同時に521cm^<-1>に新たにCO同位体鋭敏バンドが現れた。後者を5配位ヘムすなわちFe-ヒスチジン結合の切れた5配位CO錯体に帰属した。 一方、大阪府立大学農学部の津山伸吾教授の研究室に出向し、昆虫ヴィールス系に本酵素の遺伝子を組み込んだベクターを入れ、人工的に本酵素を合成しようとした。活性のある蛋白質はとれたが発現効率が悪く、ラマン分光法の測定に十分な量の蛋白がまだ得られていない。そこでヘムを含む部分のみの発現を大腸菌でやる事を試み、βサブユニットの1番から382番までの残基とヘムを含む部分を合成する事に成功した。この発現を効率よくして紫外共鳴ラマンの実験をやれる量の蛋白を得る努力をする予定である。
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