2002 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類におけるムコ多糖症の起源に関する分子進化学的研究
Project/Area Number |
01F00292
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
颯田 葉子 総合研究大学院大学, 先導科学研究科・生命体科学専攻, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MONTANO Suarez Adriana Maria 総合研究大学院大学, 先導科学研究科・生命体科学専攻, 外国人特別研究員
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Keywords | ケラタン硫酸 / 軟骨組織 / 遺伝子発現プロファイル / 細胞外マトリックス / マウス / 霊長類 / サブトラクション |
Research Abstract |
本年度は次の2点に焦点を絞り研究を行なった。 1.軟骨細胞培養の確立 マウスおよびヒトの軟骨組織由来(膝軟骨と胸部軟骨)の細胞を培養細胞として確立した。ヒトの膝軟骨細胞は既に商品化されているものがあるので、これを用いた。またマウスはこれらの軟骨組織由来(膝軟骨と胸部軟骨)の細胞を3次元の支持体のもとで培養し、軟骨組織としての性質を失わないように培養した。軟骨組織としての性質を発現あるいは維持しているかどうかは、従来知られている軟骨組織特異的に発現している遺伝子をマーカーとして、組織特異性を確認した。遺伝子マーカーとしてコラーゲンIIおよびアグリカンを用いた。 2.サブトラクション法による種特異的発現パターンを持つ遺伝子の同定 サブタラクション用のRNAはマウス胸部軟骨(MX)、膝軟骨(MK)、およびヒト軟骨(HK)細胞の各々から単離し、cDNAを作成した。この3種類の組織を用いるとMX-HK, MK-HK, MX-MKの3種類の組み合わせが可能となる。現在までに、MX-HKとMK-HKの組み合わせにおいて1000余のcDNAについてディファレンシャルスクリーニングを行ない、各々の組み合わせで70余の発現パターンが有意に異なる遺伝子を同定した。さらにこれらの遺伝子の塩基配列を決定したところ、MX-HKの組み合わせでは38種類の、またMK-HKの組み合わせでは56種類の遺伝子に分類された。これらの遺伝子はプロテオグリカン、細胞外基質、膜タンパク質が含まれた。現在はこれらのうちでケラタン硫酸の生成および分解に影響を及ぼすと思われる遺伝子の探索を行なうと同時に、MX-MKの組み合わせで得られる組織特異的な遺伝子発現プロファイルについても調べる。
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