2003 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類におけるムコ多糖症の起源に関する分子進化学的研究
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01F00292
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
颯田 葉子 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SUARES Adriana Maria Montano 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 軟骨組織 / 遺伝子発現プロファイル / 遺伝子機能欠損 / サブトラクション / ヒト特異的遺伝子発現 / 遺伝子発現量 |
Research Abstract |
ヒト・マウス膝軟骨組織、マウス胸部軟骨組織を用いたSSH (Suppression Subtraction Hybridization)により、ヒト膝軟骨に特異的に発現している遺伝子を検出した。まず、コントロール実験としてマウスの膝と胸部の軟骨組織間でのsubtractionを行った。353のクローンを検査して、発現量の異なる遺伝子を19クローンを見い出した。これらの塩基配列を決定してみると、18の遺伝子に分類された。しかし、いずれもが、発現量が異なるのみで、どちらか一方の組織でだけ特異的に発現している遺伝子は見い出されなかった。 一方、ヒトとマウスの膝軟骨細胞、あるいはヒトの膝とマウスの胸部の軟骨細胞の比較ではおよそ1,000のクローンを探索し、発現量に差のある遺伝子145クローン検出した。これらは80余の遺伝子座に対応していた。このうち、14遺伝子はヒトとマウスの膝軟骨組織を比較した時、ヒトでのみ特異的に検出されており、7遺伝子はヒトの膝軟骨組織とマウス胸部軟骨組織の比較から、ヒトの膝軟骨特異的に検出された。これらの7遺伝子はヒト膝特異的な14遺伝子の中に含まれる。また、この遺伝子がマウスで発現していないメカニズムについては、マウスのゲノムから遺伝子そのものが欠失しているのか、あるいはマウスの遺伝子が偽遺伝子化してその機能を失っているのか、または発現パターンに関与する転写因子が変化したのか等の点を今後検討して行く必要がある。そのために現在マウス・ラットのゲノムデータベースを用いてのゲノムレベルでのこれらの遺伝子の塩基配列レベルに何らかの特徴的な変化がないかどうかを探索している。
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